スポーツキャスター長島三奈さん(48)がテレビ朝日系「~長島三奈が見た甲子園~野球が僕にくれたもの」(18日午後1時55分)で、今年の夏の高校野球の秘話を振り返る。今年の夏の甲子園は作新学院(栃木)の54年ぶり2回目の優勝で幕を閉じた。3年生は進学やプロなど次の道を目指し、2年生以下は秋季地区大会から来年春の甲子園出場を目指す戦いが、もう始まっている。

 長島さんは今夏、宇都宮商(栃木)に密着した。同校は夏の県大会1週間前に、ベンチ入りメンバー20人を、マネジャーを含めた3年生全員の投票で決めた。3年生選手の数は24人、最低でも4人が選から漏れる。おのおのが20人の候補を投票用紙に書いて、結果が発表される。悩み、苦しんで「投票の日が来ないで欲しい」「自分の名前を書きたいけど、勝つためには他のやつの方が」「練習では一番頑張っていたあいつを出したい」という声を聞いた長島さん。ベンチ入りメンバーから漏れた3年生は背番号のないユニホームで引退試合を戦って納得、あとは仲間たちをひた向きに応援する。

 エース清水颯投手(3年)は「去年は3年生が自分に投票してくれた。つらい投票だと思ったけど、投票があったから頑張れる」と言う。長島さん後日、ベンチ入り出来なかった選手にも話を聞いた。「悔しさや悲しさもあるのかなと思ったんですが、晴れ晴れとした表情で『将来は学生たちに野球を教えていきたい。野球は楽しいことだと教えたい』という言葉を聞きました。勝ち負けも大事ですが、それを超えた高校野球の熱さ、素晴らしさを知ることが出来ました」と言う。

 他に29回の夏の甲子園出場を誇る県岐阜商(岐阜)の女生徒だけ29人の応援団にも密着。詰め襟の学生服を着て、男子顔負けの応援を繰り広げる、AKB世代の乙女の姿をリポート。また、来年3月の廃校が決定している別府商(大分)は、10人だけの部員で最後の夏を迎えた。今年4月の熊本地震の被害は大分にまで及び、同校のグランド、校舎は一時使えなくなった。困難に立ち向かい、悔いのない最後の夏を迎えるために猛練習を積む選手たちの思いを追った。

 長島さんは「甲子園は素晴らしい。でも、そこへ行けたのは、地方大会を無敗で勝ち抜いた49校だけ。甲子園で負けて泣けるなんていうのは、本当にうらやましいことなんです。ましてや優勝なんて奇跡に近いことだと思います。でも、甲子園に行けなかったチームにも、それぞれの思いがある。チームのための自己犠牲の精神、その裏に隠されたを思いを伝えたいと思います」と話している。