心変わりが心配!? リオデジャネイロ五輪で112年ぶりに正式種目となったゴルフでは、男子世界ランキング7位のアダム・スコット(35=オーストラリア)を筆頭に、有力選手の辞退が相次いでいる。メジャー大会が続く日程面などに難色を示しているなか、日本プロゴルフ協会の強化委員長を兼務する倉本昌弘会長(60)は、日本代表として五輪出場が確実視される松山英樹(24=LEXUS)への期待と不安を口にした。

 松山は先週、米男子ツアーで第5のメジャーと言われる「プレーヤーズ選手権」で7位と奮闘を見せた。16日に都内で行われた協会理事会後、取材に応じた倉本会長は松山の活躍を高く評価した。

「(尾崎)直道の6位(1993年)は上回れなかったけど、松山は最終日最終組で回っているからね。進化の証明だと思うし、メジャー制覇の可能性も高まっている」。15日付で発表された世界ランクは14位と変動はなかったが、今夏のリオ五輪にはメダルの有力候補として臨むことになるだろう。

 世界ではA・スコット、ビジェイ・シン(53=フィジー)、ルイ・ウェストヘーゼン(34)、シャール・シュワーツェル(31=ともに南アフリカ)とメジャータイトルを持つビッグネームが続々と五輪辞退を表明。ゴルフ界としては決して喜ばしいことではないものの、実力者不在となることに倉本会長は「松山がますます有力になっている」とメダル獲得の追い風と指摘した。

 その一方で、倉本会長には一抹の不安があるという。五輪参戦を見送る他の選手の動向が松山に影響を与えるのではないかというもの。松山は一時帰国して五輪の選手登録に必要な手続きを行うなど、すでに出場の意思を明確に示しているが「米ツアーにいて周囲の選手が辞退していくと『(五輪に)出なくてもいいのかな』とならないか…。とにかく出てほしい」。

 今季は「全英オープン」(7月14日~)、「全米プロ」(同28日~)に続いて「リオ五輪」(8月11日~)と1週おきにビッグトーナメントが開催される過密日程。これを嫌って辞退を選択した選手もいる。それだけに倉本会長は「メジャー(の成績)次第でどうなるか…」と直前での出場回避も想定するなど、かなりナーバスになっているのだ。

 どんな選手であってもケガや体調不良で辞退する可能性はゼロではない。ましてやライバルたちの五輪辞退がさらに続けば、松山が心変わりしないとも限らない。強化委員長という立場となると不安は尽きないようだ。