【倉木麻衣×BARKS連載対談】第六回(2006~2008年)「直接アジアの人に伝えたいと思ったんです」

ポスト

倉木麻衣が2014年12月、デビュー15周年を迎える。BARKSでは15年の歴史を振り返るべく、倉木麻衣、BARKS編集長の烏丸哲也、デビュー当時からのディレクター西室斗紀子を迎え、約1年間にわたって大型連載企画を展開中だ。前回は、大学卒業後のクリエイティヴな表現欲求について語ってもらった。そして、第六回目となる今回は2006年から2008年。環境問題をテーマとした活動や海外展開がより活発化したこの数年間に迫る。

◆倉木麻衣 画像

2006年の<アースデー・コンサート>出演以降、倉木麻衣は環境問題をテーマとした音楽活動を展開する。現在も継続して行われているこの活動はアーティスト倉木麻衣のアイデンティティであり、その精神は幼少期から育まれたものだった。2006年のワンガリ・マータイとの出会いがきっかけとなった社会貢献に対する意識の高まりと、中国、台湾、韓国などアジアへ広げた活動の幅は倉木自身をまた大きく成長させたようだ。

【連載対談第六回:2006~2008年 <環境活動と海外展開による広がり>】

■一緒に楽しみながらやっていくことが、継続できることでもあるのかな
■音楽も、みんなに楽しんでもらえるものですよね

烏丸:自己表現と共に、思いをいろんな人と共有するところに、倉木さんは喜びを感じるタイプだということがわかってきました。そこで興味深いのは、環境問題やエコロジーや、社会貢献のような活動が、この頃から少しずつ見えてきますよね。そこらへんの心境の変化は、アーティストとしての成長と密接に関わっていると思うんですが、何かきっかけがあるんですか。

倉木:もともと私は、小学生の頃からエコ活動などにすごく興味があって、ボランティアをやったりしていたんですね。盲導犬のための募金活動をやったりとか。

烏丸:小学校の頃から?

倉木:学校の授業で、街をきれいにしようという課外授業があったんですね。そういうことが盛んな学校だったので、当たり前のようにやっていたんですけど、それによって近所のおばさんが“えらいね”と言ってくれたり、笑顔をもらえるということが、子供ながらにうれしくて。ボランティア活動をやっていく中で、友達と自然に楽しみながら募金を呼びかけるとか、そういうところからスタートしているんです。デビューしてからは、学校と音楽の両立で余裕がなかったこともあって、そういう活動をやりたい思いはあったんですけど、なかなかできずに。それでもマイ箸を使ったりとか、身近でできることは続けていました。

烏丸:元々そういう環境の中で育ってきたんだ。

▲ワンガリ・マータイさんとの対談時 (2006.2.13)
▲24thシングル「Diamond Wave」( 2006.06.21発売)
倉木:そうなんです。それで、ちょうどその頃、TOKYO FMさんから<アースコンシャス>のコンサート(コスモアースコンシャスアクト・アースデー・コンサート/現EARTH×HEART LIVE)への出演依頼をいただいて、それがとてもいい機会になりました。

烏丸:それが2006年4月ですね。

倉木:“もったいない”という言葉を広めた、ワンガリ・マータイさんというアフリカの環境保護活動家の方と対談するきっかけをいただいて、そこであらためて、自分がやっている音楽はいろんな人たちにすごく影響を与えるものだから、それを通じてソーシャルワークの活動を広めていくのは、環境が整っているなと思ったんですね。それからエコについての活動をどんどんやっていこうと思って、自然への思いを歌った「Diamond Wave」という曲では、初めて環境についての歌を作ったりしました。

西室:マータイさんとの対談は、すごく大きかったと思います。

倉木:大きかったですね。

烏丸:どんなことをおっしゃっていたんですか。

倉木:実際お会いしてみたら、すごくかわいらしい方で、終始笑顔で、こんなかわいらしい方が日本に来て、“もったいない”という言葉を発見されたということにびっくりしました。私たちはふだん使っている言葉ですけど、そこまで意識はしてなかったんですね。

烏丸:ことさら、ピックアップする言葉ではなかったですよね。

倉木:“日本には素晴らしい、いい言葉がたくさんある。もったいないという言葉をぜひ世界に広めたい”と言って、“倉木さんもその思いを、音楽を通じて広めてほしい”というお話をしていただいて。

西室:若い人に向けて発信してほしいって。

倉木:マータイさんは、木を植える活動もしていて、その時の様子を教えてくれたんですけど、みんなで歌を歌いながら植えたりするんですって。マータイさんも音楽が大好きで、マイケル・ジャクソンが大好きだという共通点もありまして(笑)。そういうお話もできて、すごく楽しかったんです。

西室:植林する時の歌を、歌ってくれたんですね。

倉木:スワヒリ語の歌で、あとで訳してもらったんですが、働くことは楽しいことだという意味の歌でした。楽しみながらそういう活動をやっていくことは大事だということを、あらためて感じましたね。“やらなきゃ”ということではなくて、ソーシャルワークの中で興味のあるものをやってみて、友達も巻き込んで、一緒に楽しみながらやっていくことが、継続できることでもあるのかな?と思うので。音楽も、みんなに楽しんでもらえるものですよね。私もそうやって発信していきたいなと思ったきっかけを与えてくださったのが、マータイさんでした。

烏丸:楽しむというのは、一番大事なところだと思うんですね。何をやるにしても。でも僕がそこに気づいたのなんて、つい先週ぐらいの感じですよ(苦笑)。そういうことを考えている倉木さんを、スタッフは周りであたたかく見守っていたということになりますか。

西室:マータイさんとの対談は、私も同席させていただいたんですけど、あの場にいると、やっぱりそういう気持ちになりますね。マータイさんのオーラといいますか……。

倉木:地球の母、みたいな感じの方なんですよ。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報