「おヒョイさん」の愛称で親しまれた俳優藤村俊二(ふじむら・しゅんじ)さんが1月25日午後8時45分、心筋梗塞による心不全で亡くなっていたことが1日、分かった。

 藤村俊二さんと長年の親友で、同じ昭和9年生まれの著名人で結成した「昭和九年会」メンバーの女優中村メイコ(82)が1日、日刊スポーツの電話取材に応じ「あの人らしく、ヒョイと姿を消した。私の唯一の気の置けないボーイフレンドでした」としのんだ。

 訃報はこの日知ったといい「何年も前から『僕の内臓はがらんどう(何もない状態)だ』とよく言っていました。よくぞここまで生きたと思いますし、私にとっては悲しみというよりホッとしました」。藤村さんは実際、53歳の時に肺気胸で入院、56歳では胃がんで胃の摘出手術を受け64歳で腹部大動脈瘤(りゅう)になるなど3度の大病をしていた。ここ数年、藤村さんから連絡が途絶えていたといい「よく動物とかって、死ぬ間際に姿を消すということを聞くけれど、まさにそんな感じ。あの人らしいな…」。

 藤村さんが経営していた「O’hyoi’s」でよくお酒を酌み交わしていたといい、中村にとっても唯一無二の存在だった。「裕ちゃん(石原裕次郎)も長門(裕之)君も、昭和九年会の仲間が、どんどんいなくなっている。でもその代わり、私が向こうに行ったら、みんなボーイフレンドが待っていてくれるわね」としみじみと語った。

 この日中村は、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」にも電話出演し「ジェントルマン。ベストドレッサーで、おしゃれで。女に弱くて…。嫌みのない、すてきな男の子でした」と話した。日刊スポーツの取材にも「人生のほとんどが闘病みたいな人だったけど、それをちっとも外には出さなかった。明るく軽やかにいきましたね」と悼んだ。

 ◆昭和九年会 昭和9年=1934年生まれの芸能人、著名人の親睦団体。愛川欽也さん、長門裕之さんが発起人になり、藤村さん経営のバーで集っていた。作られたのはメンバーが42歳のころで「厄年を過ぎ、楽しく社会貢献をしよう」という目的だった。ほかに牧伸二さん、玉置宏さん、坂上二郎さん、大橋巨泉さん、石原裕次郎さん、山本文郎さん、初代引田天功さん、財津一郎ら。チャリティーゴルフ大会や、救急車を寄贈したりした。