よしもとクリエイティブ・エージェンシーは10日、先月21日に死去した松方弘樹さんの遺作ドキュメンタリー映画「時代劇は死なず ちゃんばら美学考」(中島貞夫監督)を追悼上映すると発表した。

 おもに京都撮影所で、半世紀以上にわたって映画監督として活躍してきた中島監督の新作で、昨年12月に公開されたが、今回あらためて再上映する。OSシネマズミント神戸で2月18日から1週間限定の上映となる。

 作品は、中島監督が京都で製作してきた時代劇を映画人としてあらためて考察する異色作。製作された背景や、チャンバラに込められた日本人の死生観など、ストーリーを追うだけでは見えてこない魅力について、松方さんら俳優や殺陣師、映画研究家、評論家らに中島監督がインタビューした。

 中島監督は松方さんとは自分が助監督で、松方さんが高校生だったころから付き合いがあった。中島監督の作品に松方さんも数多く出演した。松方さんについて「一言で言うと、本当の意味で最後の映画スターです。今はテレビにも出る俳優が多いですが、彼は映画だけで食ってきた真の映画スターですよ。根っからの役者」と評する。また俳優としての魅力などについて「アクションも多少、様式的な時代劇も、現代劇もこなせた。こちらが、ああしろ、こうしろと言わなくても、与えられた役柄を完璧にこなした。演技の幅も特筆ものだった」と話している。