美輪明宏(81)主演の三島由紀夫作「葵上・卒塔婆小町」が26日から東京・新国立劇場で上演される。生前親しかった三島が能に想を得て書き下ろした「近代能楽集」の作品で、美輪は演出・美術も担当する。

 「葵上」で光(木村彰吾)を忘れられずに生霊となる六条康子、「卒塔婆小町」では100歳の老婆から若い姿に変身する小町を演じる。「小町のドレスの上におばあさんの衣装とかつらをつけ、早変わりでワルツも踊るので体力的に大変。これを演じるのも最後になるかもしれません」。

 三島は美輪主演の上演を切望したが、実現したのは96年。以降再演を重ね、7年ぶり5度目の上演となる。先日、70年11月に自決する9カ月前に死生観などを語った三島の肉声テープが発見された。美輪は「三島さんが宣伝してくれたのかしら。そういうちゃめっ気がある人だった。天才に望まれたアーティストだったのは幸せなこと。天才の思いをお伝えしたい」。