3シリーズ目のスパイダーマンは、主人公のピーター・パーカー(=スパイダーマン)がぐっと若返った。前2シリーズでは、トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドともに、20代後半から30代にかけてピーターを演じていたが、新ピーターは21歳のトム・ホランドだ。幼めの顔と細身の体が、成長途中の15歳の高校生にぴったり合っている。

 ヒーローが陥る苦悩とか、存在意義の確認とか、そういうところからだいぶ離れ、純粋に「活躍したーい!」という明るさは、見ていて楽しくなる。ピーターの高校生活も、友人キャラを含め丁寧に描かれているので、後半の恋愛を描いた部分なんかは、シンプルだったが、ちまたにあふれる胸キュン系作品よりよほどドキドキした。

 今回のシリーズからスパイダーマンが、マーベルコミックのヒーローたちが共有する世界観、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に本格的に仲間入りした。MCUの中では、アイアンマンの存在感が突出しているが、スパイダーマンがどう存在感を増し、ピーターがどう成長するか楽しみ。マイケル・キートンは安定の悪役。

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