大相撲初場所(14日初日、東京・両国国技館)を控えた9日、東京・明治神宮で新年恒例の横綱奉納土俵入りが行われた。白鵬(32=宮城野)は「いよいよ一年が始まったなという気持ち」と気分を新たにした様子。稀勢の里(31=田子ノ浦)は「いい一年にする気持ちで土俵入りした」、鶴竜(32=井筒)も「ここに来たら初心に戻れる」と表情を引き締めた。

 この日の土俵入りでは数々の“異変”もあった。日本相撲協会の八角理事長(54=元横綱北勝海)ら各理事が出席するなか、伊勢ヶ浜親方(57=元横綱旭富士)と貴乃花親方(45=元横綱)は元横綱日馬富士(33)の暴行事件をめぐる責任問題で理事から降格したために不在。セクハラ騒動が発覚した立行司の式守伊之助(58=宮城野)も土俵入りに参加せず、三役格行司が代役を務めた。

 一方、報道陣は100人近くが集まる中で、見物客の数は昨年の4200人から最近5年間では最低に並ぶ2800人にまで急減。今年の土俵入りは昨年より3日遅く、初詣の時期を過ぎているとはいえ、一連の不祥事による影響がゼロとは言い切れない。実際、昨年初場所後に稀勢の里が横綱に昇進した際の見物客は5500人。ほぼ半減する寂しい入りとなった。

 すでに初場所の前売り券は完売しているものの、暴行事件の再発防止策や式守伊之助の処分など問題は山積。大相撲が信頼を取り戻すまでには、まだまだ時間がかかることになりそうだ。