2018年に創刊50周年を迎えた小学館のマンガ誌「ビッグコミック」の関係者に、名作が生まれた裏側や同誌について聞く連載企画「ビッグに聞く」。第5回は「ゴルゴ13」で知られるさいとう・たかをさんが登場。同誌が創刊した1968年から約50年にわたって休載せずに「ゴルゴ13」の連載を続けるさいとうさんに、執筆の裏側を聞いた。
ウナギノボリ
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「ビッグコミック」は、“青年マンガ誌の祖”といわれている。さいとうさんは、創刊前から「青年向けマンガをやりたかった。最初につかんだマンガの読者は団塊の世代。その読者が成長する中で、逃す手はない」と考えていた。出版社に青年マンガの企画を持ち込んだが、「マンガは子供のもの」と言われ、相手にされなかったという。
さいとうさんの転機になったのは、60年代に小学館が発行していた雑誌「ボーイズライフ」で描いた映画「007」シリーズのマンガ版だった。「絵について悩んでいたが、『007』で絵が固まりました。それ以降、絵で迷わなかった」という。「ゴルゴ13」などさいとうさんのマンガの原点にもなった。
「ビッグコミック」創刊号には、さいとうさんの「捜し屋禿鷹登場!!」が掲載された。そして、68年11月には「ゴルゴ13」の連載が始まり、現在も連載が続いている。「ゴルゴ13」は「10話で終わると思ったけど、もっとやれ!となった。ここまでできるのは、ラストを考えているから」と明かす。
「ゴルゴ13」は休載もせずに約50年も連載が続いている。さいとうさんは「お百姓さんが稲を作っているのと同じ。稲を作るのを飽きたとは言えない。最初から職業と考えているんです。これを仕事にしたら面白い、将来伸びる!とこの世界に入ってきた。好きで好きで描きたい!という感覚ではなかった。休んだり、逃げたりするのが売れっ子のステータスになった時期もあった。でも、ほかの職業では違約金を払わないといけないですよね」というマンガ家に対する職業観があるという。
「ゴルゴ13」のヒットもあり、青年向けマンガが一般的になったが、「ここまで早く広がると思っていなかった」とも感じている。「映画を作るのは金がかかるけど、この世界はそんなに高くつかない。マンガは、買うのも安い。大衆小説と肩を並べるだろうけど、そのころは私はいないだろう……。私は“捨て石”だと思っていた。不思議ですよ。ここまでなったことが感慨深い」としみじみ語る。今やマンガは日本を代表する文化になった。だからこそ“ビッグ”も「感慨深い」と感じるのだろう。
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