関西の人気落語家でタレントの月亭八光(40)が5日、大阪市内で、「約20周年記念祭り」(23日、大阪・なんばグランド花月)の取材会を開き、ここまでの「奇跡的な運の良さ」を振り返った。その運を引き寄せる秘密は「マジメの中の不真面目」と「遊び」だった。

 いいかげんではない。不真面目でもない。が、肩ひじ張らない“遊び”が魅力の八光。高校卒業後の96年、父で人気落語家の月亭八方(70)に入門。父八方は「七光の上を行く八光や」と命名した。

 「そもそも、20周年興行をやろうと思ったら、よう考えたら22年目でした。なんで、約20周年で。落語はこん身の1席だけで、お祭りみたいなイベントにしたいです」

 桂三度ら落語家に加えて、シャンプーハット、千鳥、ダイアン、かまいたちらも出演する。

 八光の“ゆるさ”は父譲り。「僕は奇跡的な運の良さと育ちの良さでやってきました」。父と同じ道に進んだころ「お母さんにお世話になってます」と各所で言われた。母は、父八方の「妻」というより「生涯、日本一の八方ファン」を公言し、テレビ局各所に出入りしていた。加えて、敵を持たない全方位外交を貫く父の「人間力」にも支えられ、すぐに仕事を得た。

 当時、八方は関西全局で仕事があり、八光は「僕のさぼりぐせというか、生放送中は休憩やと思ってた」と笑う。父が生出演中、せっせと番組スタッフと交流を深め、絶叫マシンのロケなどの仕事をもらった。

 うつみ宮土理が出演していたMBSテレビ発全国ネット「いい朝8時」にも同行。毎回、うつみと同じホットココアを飲んでいると、気に入られ、うつみが番組レギュラーに推挙。「次の月からレギュラーになった。そのとき、うつみさんの力と関西のテレビ局の力を思い知った」とも話す。

 休憩中も全力で人と付き合う“マジメさ”はある。22歳のころ、メッセンジャーと出会ったのも転機のひとつだった。

 「僕の周りに、こんなに嫌なことばかり言う人おらんかった。なんでお前みたいなモンに仕事あんねん、八方師匠おらんかったらどついてる、とか、むちゃくちゃ、いじってもらえた」

 いじりを父譲りの対応力でかわしているうち、打たれ強くなり、さらに「人間力」が磨かれた。いまや“上方落語界きっての人たらし”と呼ばれ、上方落語協会のファン感謝イベント「彦八まつり」では、毎年、知り合いに頭を下げ「資金調達係」を担っている。

 協会では、まだまだ若手。今年は2年に1度の会長職の改選期で、昨年末から不倫騒動に揺れた桂文枝会長が9期目へ再選されるか否か、注目が集まる。

 八光は「文枝会長がどうされるか、若手の立場ではうわさ程度しか聞かないんですけど、続行していただけたらうれしいなとは思います」と話していた。