西島秀俊(46)が人気コミックの実写映画化「劇場版 空母いぶき」に主演することが5日、分かった。自衛隊が初めて持った航空母艦の艦長を演じる。占領された島の奪還と、拘束された海保隊員の救出を任務とする。艦長と対立しながらも共に危機に立ち向かう副長を佐々木蔵之介(50)が演じる。メガホンは若松節朗監督(68)がとり、来年公開。

 漫画「空母いぶき」は、「沈黙の艦隊」などで知られる漫画家かわぐちかいじ氏(69)が、14年から「ビッグコミック」(小学館)で連載している軍事エンターテインメント。単行本の累計発行部数が300万部を超える人気コミックだ。劇場版は、一部設定などを変更するが、緊迫感や臨場感、リアリティーをスケール感あふれる映像で実写化する。他国による領土の占領という極限の危機が生じた時、最前線に立つ自衛官や、首相を中心とする政府、マスコミ、一般市民は何を選択し、どのように判断するのかを問い掛ける。

 西島は、航空自衛隊でエースパイロットだった経歴を持ち、戦後初の航空機搭載護衛艦「いぶき」艦長に任命された秋津竜太を演じる。平和を守るためには武力行使が必要な場合もあるという信念を持つ。防衛出動を命じられ、占領された島に向かう中、戦闘機や潜水艦からの攻撃を冷静な判断で対処。西島は撮影に向け「傑作の映画化のお話をいただき、興奮で震える思いです。鋭い洞察で今を見つめ、圧倒的なリアリティーで描かれる近未来、その作品世界に生きる人物たちに負けないよう命がけで取り組みたい」と話す。

 佐々木は、秋津と防大同期で、海上自衛隊から「いぶき」副長に任命された新波歳也を演じる。自衛隊は戦争を避けるためにあるという信念のもと、たびたび秋津と対立する。「必ず平和を守るという信念を持ち、あらゆる戦況と対峙(たいじ)し悩み葛藤する登場人物たち。この作品に挑めることをうれしく思います。強い覚悟を持って航海に臨みます」と話す。

 西島と佐々木は映画初共演。撮影に向けて多数の自衛隊OBに話を聞くなど準備を進めている。映画は、2人の対立を縦軸に描きながら、未曽有の危機に陥った時、どのような決断やかじ取りが求められ、重要なのかを描く。若松監督は「投げかけられた問いが現実となった時、私たちはどんな選択をするのか。平和や命の重みを考えるきっかけとなるよう頑張りたい」と話す。

 ◆「劇場版 空母いぶき」 日本最南端沖で国籍不明の船20隻による突然の発砲後、日本の領土である群島の一部が占領され、海保隊員が拘束された。政府は戦後初の空母「いぶき」を中心とする護衛群艦隊を現場に向かわせる。国家間に起きた未曽有の危機を24時間の物語として映画化。原作のかわぐち氏も監修として参加。