【フロリダ州オーランド15日(日本時間16日)発】レジェンドとの競演で怪物が復活ののろしを上げた。ゴルフ米男子ツアー「アーノルド・パーマー招待」(ベイヒル・クラブ=パー72)初日、松山英樹(26=LEXUS)は1イーグル、3バーディー、3ボギーの70で回り、2アンダーで22位と上々のスタートを切った。左手親指付け根付近の痛みで6週間ぶりの復帰戦となったが、同組のタイガー・ウッズ(42)に触発されたかのように好ショットを連発。課題のパットも決まった。ウッズは4アンダーで7位。首位はヘンリク・ステンソン(41=スウェーデン)で8アンダー。

 最終9番をパーでホールアウトした松山の笑顔がすべてを物語っていた。2月の「フェニックスオープン」の初日に左手親指付近に痛みを感じ、2日目のスタート前に棄権。一時帰国して治療やリハビリを行い、慎重に調整してきた。不安を抱えながらのティーオフ。インスタートで出だしの10番は2打目をバンカーに入れたが、うまく脱出してパーで切り抜けた。

 11番もパーでしのいで迎えた12番パー5は安定したショットでフェアウエーをキープ。3打目をピン横1メートルにつける絶妙なアプローチで初のバーディーを奪った。15番でボギーとしたが、続く16番パー5はティーショットで316ヤードのビッグドライブ。2オンに成功させると、5メートルのイーグルパットを沈めてギャラリーの喝采を浴びた。

 後半に入ると風にも悩まされたが、4、6番のパー5ではきっちりとバーディーを奪取。4番では微妙な距離の3メートルを入れ、6番ではグリーン手前からの3打目が1メートルにつけるスーパーショットでショートゲーム得意の松山が本領を発揮した。

 同組にはウッズとジェイソン・デイ(30=オーストラリア)という2人の元世界ランキング1位がいたことで注目を集めた。“タイガーマニア”と呼ばれるギャラリーが大挙し、松山にとって決して簡単な状況ではなかった。ドライバーの飛距離こそ絶好調時には及ばなかったが、負傷の影響を感じさせないプレーぶり。「ウッズと一緒だったので、ちゃんとしなきゃと思った」と話したようにウッズの好ショットの後にそれ以上のショットでギャラリーを沸かせ“ウッズ効果”もあった。

 ホールアウト後の第一声は「まあ、こんなもんかな。いいところもあったし、悪いところもたくさんあった。アンダーパーで回れたので良かった」。さらに「バンカーからのショットが良かった。いいラウンドになった。パットは練習の時から良くなかったが、いいパットが何回か入ってくれたのでこのスコアになった」と表情を緩めた。

 もちろん不安はまだ消えていない。「(左手は)どういう感じになるか分からない。また(痛みが)出るかもしれないし…。でも今日は一回も出なかったので良かった」。大目標の「マスターズ」(4月5日開幕)に向けて怪物は復活への第一歩を刻んだ。