松任谷由実(64)が荒井由実名義でリリースした、73年初アルバム「ひこうき雲」をテーマにしたコンセプトライブを取材した。

 ユーミン、井上陽水、家入レオ、久保田利伸、JUJU、原田知世、横山剣、SuchmosのYONCEと計8組の人気歌手が参加。陽水はユーミンとデュエット後、ユーミンとハグとハイタッチを交わし、「イェイ」とひと言だけ言って、手を振ってステージを去った。ユーミンはさっそうと会場を後にした陽水を「さすがのオーラですね」と、少し驚いた表情で見ていた。

 今年45周年。この日も冒頭で「めちゃくちゃ上がっちゃっています」と話したが、ユーミンのような大御所でも、ステージで緊張したり、突然の出来事に驚くことがある。それを目の前で見られるのは貴重な機会だった。

 とても豪華なライブだったが、ユーミンが話すアルバム秘話も興味深かった。

 「ひこうき雲」収録曲「そのまま」は14歳の時に作ったという。「内容は何でか老成しています。遍歴を重ねてやっと巡り合ったみたいな曲。なぜ作ったのか、謎です」と率直に振り返った。

 また、「ひこうき雲」発売前年、デビューシングル「返事はいらない」をリリースした。これにも少しだけ言及。「『ひこうき雲』を出す前に、1枚シングルを出したけど、300枚ぐらいしか売れなかった。でも、今は中古で1枚30万円になっています」とユーモアたっぷりに明かした。

 公言しているエピソードもあるが、直接本人が話しているのを目の当たりにすると、リアルで新鮮。デビューシングルが今や中古で1枚30万円と高額になっている件も、ユーミン本人が笑顔で話していると、エピソードが深みを増して聞こえた。