舘ひろし(68)黒木瞳(57)がダブル主演で夫婦を演じた映画「終わった人」(中田秀夫監督、6月9日公開)の完成会見と舞台あいさつが10日、都内で行われた。舘は、サラリーマン人生の定年後に生き方を模索する男、壮介を演じた。「定年って生前葬だな…」というせりふにちなみ、生前葬の祭壇をイメージした異例のステージが用意された。カトレア、ダリア、バラ、ユリなど約1000本の花を使った。

 舘は舞台を見て「よろしいんじゃないでしょうか。明るい黄色をメインカラーにしたのはいいですね」。自分が生前葬をやるとしたら、どういうものがいいかと聞かれると「考えたことないよ」と苦笑いしつつ、「してもいいかな。いっぱい香典がもらえるなら」と笑わせた。

 20代のころから舘と何度も共演し「長年連れ添った夫婦を演じられるのは私しかいない」という黒木は、舘の答えを聞いて「舘さんがよろしいんじゃないでしょうか、というなら私もいいと思います」と息もぴったりだった。

 舘はこれまで渋い役が多かったが、今回は大人のコメディー。肉じゅばんで中高年の腹回りに見せることにも挑戦した。舘は「攻撃的な芝居をして、アドリブも入れました」と明かした。黒木は「役者としてすごい。ここまで捨てて、その人になっていく勇気は見習わないと」と話し、広末涼子(37)は「舘さんのイメージは変わらないんですが、壮介も共存している」。

 舘は、まじめな話の後は、サービス精神たっぷりでなごませた。第2の人生を送るとしたら? には「酒池肉林」。人生100歳時代の今、100歳になって俳優は? には「死んでます。そこまでもたない」と即答してみせた。ほかに田口トモロヲ、ベンガル、原作小説を書いた内館牧子氏も出席。【小林千穂】