WOWOWプライムで、13日に「生中継!エキサイトマッチスペシャル 光速対決!リナレスvsロマチェンコ」と題して、フェザー級、S・フェザー級、ライト級の3階級で世界王座を獲得したホルヘ・リナレス選手の3度目の防衛戦が生中継される。挑戦者は、アマチュア時代に2008年の北京五輪、12年のロンドン五輪と五輪連覇の実績を持ち、プロでは3戦目にフェザー級、7戦目で現在のS・フェザー級王座を獲得したワシル・ロマチェンコ選手。スピードとテクニックを兼備した、実力者同士の注目カードとなる。この一戦の見どころを、リナレス選手のジムメートでもある村田諒太選手に聞いた。
ウナギノボリ
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――帝拳ジムのジムメートとして接しているリナレスは、どんな人ですか。
明るくて優しい人ですね。見た感じの、あのままです。
――一緒にトレーニングキャンプもしていますよね。
成田のキャンプで何度か一緒だったことがあります。僕も速いんですが、彼も走るのは速いですね。何度か食事もしたことがありますが、そんなときは日本語でボクシング以外のたわいもない話をすることがほとんどです。ラスベガスでトレーニングしたときは、ほぼ毎日一緒に食事していましたね。
――今回の試合前、話す機会はありましたか。
この前、僕の初防衛戦(4月15日)が終わったあと、アメリカにいるリナレスから『ブラザー、コングラチュレーション(おめでとう)』と連絡がありました。僕は「ありがとう、今度は君の番だね」と返しました。
――リナレスの最近の戦いぶりを見て、いかがでしょうか。
以前は強いけれど、打たれたときにモロいという印象がありましたが、最近はたくましくなりましたよね。ケビン・ミッチェル(英国)戦など、敵地でダウンを喫したにもかかわらず立ち上がって、その後も何ごともなかったかのように自分のボクシングをしていましたからね。強いうえに安定感が出てきたと思います。イスマエル・サラストレーナーとの相性もいいのかもしれませんね。
――ミッチェル戦、アンソニー・クロラ(英国)との2試合など、敵地で戦った経験がプラスになっているようですね。
特にクロラとの試合は相手の応援がすごくて、セコンドの声が聞こえなかったらしいですよ。そんななかで戦って勝つんだからたくましいと思います。
――技術面は?
完璧でしょう。あれほどスピードがあって技術のある選手はいないんじゃないですか。リナレスの良いところは第一にスピードですが、単発でも連打でも速い。次はパンチ力。特に最近はパワーがついてきているなと感じますね。総合的にみれば完璧に近い選手だと思います。
――ここ2試合、サウスポーとの試合が続いていて、次に対戦するロマチェンコもサウスポーです。
右と戦うときほど得意ではないのかなと思いますが、ルーク・キャンベル(英国)戦、メルシト・ヘスタ(フィリピン)戦とサウスポーとの試合が続いているので、この2試合が良いテストになっているんじゃないですかね。
――では、3階級制覇を狙って挑戦してくるロマチェンコについて、彼の優れている点を挙げてください。
まずパンチをもらわないこと、そして速い点ですね。それで相手はイヤになってしまう。自分のパンチは当たらない、打とうと思ったらいない、もういいやとなってしまう。“ノー・マス(もうやめた)チェンコ”などと言われるぐらいですからね。あのボクシングはロマチェンコにしかできない。試合前は『やるんじゃないか』と思ったギジェルモ・リゴンドー(キューバ)でさえ後ろに回られてしまったぐらいですからね。滑るようなフットワーク、スピードは特別なもの。まるでミニ四駆みたいですよ。なぜあんな動きができるのか分からないし、才能としかいいようがないでしょう。まねしようと思っても誰にもできないボクシングですよ。
――ただ、今回は階級を上げてライト級での試合となります。
そこですよ。体のサイズ、肉体的なもの、一発一発のパンチ力、加えてリナレスにはスピードがある。下の階級の選手が上げてきたときの最大の強みはスピードなんです。マニー・パッキャオ(フィリピン=6階級制覇)やロイ・ジョーンズ(米国=4階級制覇)などが好例ですよね。でも、今回の場合、それがリナレスに通用するかといったら、それはないわけですよ。フェザー級、S・フェザー級の選手よりもライト級のリナレスの方が速いんですから。かつ体の強さもある。だからロマチェンコに勝つとしたらリナレスだと思うんです。もしもリナレスが止められないのならば、もう誰もロマチェンコを止められないでしょう。
――どんな展開を予想しますか。
序盤はロマチェンコが様子を見ると思います。相手のパンチ力がどのくらいなのかと。リナレスはワンツー系のストレートを狙うと思います。このときにロマチェンコがリナレスのパンチにどれだけ反応できるかが最初のポイントで、十分な反応ができないようならばリナレスの速い右が当たるでしょう。逆に、リナレスの右を簡単に外してしまうならばロマチェンコのペースでしょう。そこが勝負の分かれ目だと思います。もうひとつは、オルランド・サリド(メキシコ=プロ2戦目のロマチェンコに12回判定勝ち)がやったほどではないにしても、リナレスが体でロマチェンコを押し込んでロープを背負わせるシーンをつくる展開もあります。それでも、「フィジカルは関係ない、俺の足の動きの方が速い」とばかりにロマチェンコが動いて打つならば、それはもうロマチェンコのものでしょう。互いの強い面をぶつけ合ったうえでの勝負になると思います。
――下馬評ではロマチェンコ有利と出ています。
リナレスが勝つチャンスは十分にありますよ。ロマチェンコは打たれたことがないので、リナレスの右が当たったときにどうなるか分からない。リナレスは右だけでなく左のアッパーもうまいし。最近はコンビネーションが多彩ですからね。でも、カウンターでも自分から踏み込んで打つ場合でも、やはりリナレスが勝つには右でしょうね。
――この試合はスピード対スピード、天才対天才などと言われていますが、村田選手はどんな構図だと思いますか。
スピード(リナレス)対ハイテク(高機能=ロマチェンコ)でしょう。直線的な動きにスピードがあるリナレスに対し、足のスピードがあるロマチェンコの機能が上回るか。スピードを身上とする選手同士の対決ですが、スピードの種類が違うんですよ。
――ジムメートとしてリナレスにエールを。
勝ってくれると信じています。ホルヘ(リナレス)、勝って一緒においしい肉を食べよう。
ホルヘ・リナレス選手対ワシル・ロマチェンコ選手の試合は「生中継!エキサイトマッチスペシャル 光速対決!リナレスvsロマチェンコ」として、WOWOWプライムで13日午前9時に放送。
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