女優草笛光子(84)が23日、東京・六本木トリコロールシアターで、こけら落とし公演発表会に出席した。

 同公演は、草笛ら8人の女優によるフランソワーズ・サガン「愛のゆくえ」の朗読劇。この日は、木の実ナナ(71)麻実れい(68)剣幸(64)浅田美代子(62)中嶋朋子(46)寺島しのぶ(45)のほか、演出家鵜山仁氏(65)劇場オーナーで文化人の白樹栞氏が登壇した。

 草笛は冒頭「帝劇、芸術座、コマ劇場とこけら落としをほとんどやってきました。床を見るとちゃんとしてないけど、そんなところのこけら落としは初めてです」と笑顔であいさつした。白樹氏から「これでちゃんとしてるんです」と言われ、「あっ、これでいいんですか。小粒でピリリの劇場ですね」と笑った。1年前にニューヨークのブロードウェーで「シカゴ」を観劇した際、「劇場の床に傷が付いていて、今までの出演者の汗と涙が染み込んでいると思ったら、思わず触ってしまったんです」とエピソードを話し、「ここも将来、汗と涙が染み込んで、すばらしいものを上演する劇場になってほしいです。私はどこにいっても最高齢で、この世から先に失礼すると思いますが、そういう素晴らしい劇場になっていくことを願っています」と述べた。

 また、小劇場ならではの良さを「お客さんとの距離が近いので、ちょっとした手や目の動きを見せるような、繊細な芝居をやってみたい。心の状態を見せるような芝居をプロデュースしてみたいです」と意欲をみせた。

 白樹は「大小さまざまな劇場が消えていく中、規模が小さくても人々の心に刻まれるような、演劇人の心の拠点を作りたいと5年前から考えていた」といい、「いつの日か、日本のブロードウェーはあそこが最初の拠点だと言われるような劇場になっていけばと思います」と胸の内を語ると、感極まって涙を流した。

 寺島は「白樹さんの涙に、全てが集約されていると思います。こけら落とし公演に呼んでいただけたことを感謝しています」と話した。

 6月9日から同27日まで上演。