高杉真宙(21)が4日、東京・イオンシネマ シアタス調布で行われた主演映画「世界でいちばん長い写真」(草野翔吾監督、23日公開)完成披露試写会に、同名小説の原作者・誉田哲也氏が駆け付け、感激と緊張のあまり涙目になった。

 高杉は、誉田氏が客席にいるのを見つけると「本当に、ありがとうございます。来てくれて、うれしいと素直に思いますね。キャラクターをいただいて、やらせていただく以上、真剣にやらないといけない。世界観を作ってやらせていただかないといけないと思いましたが、純粋に楽しんでやらせていただいた。この役があったから昨年夏、青春があって皆さんと楽しく撮影できた」と感謝した。

 「世界でいちばん長い写真」は、誉田氏が愛知県の学校で実際にあった出来事を基に、ギネス記録を持つパノラマカメラと出会い、消極的で人生の目的を持てずモノクロだった人生が、鮮やかな色に変わっていく少年・内藤宏伸の青春を描いた群像劇。撮影も、原作のモデルとなった高校で行った。

 高杉は、誉田氏を前に「本当に仲が良い現場で、実際にモデルになった学校で撮影させていただいて、どれだけなじめるかが課題だった。生徒さんの中で演じるのは目立つので気を付けようと。みんな、若返って撮影し、暑い夏を一瞬に駆け抜けた感じでした。自分の夏としてはノンフィクション…」などと撮影を振り返った。水野勝(27)ら周囲から「涙目になっている」と突っ込まれると「すごい緊張していたんで…僕より、言葉が伝えるのがうまい方はいるんですよ」と照れ笑いを浮かべた。

 宏伸のいとこ温子を演じた武田梨奈(26)は、高杉が「小声で『あっ、ヤバい』と言っていました」と暴露し、笑った。そして「(高杉ら)高校生チームを見ていて、自分も青春した気分。自分のクランクアップは泣かなかったですけど、高校生チームのクランクアップでもらい泣きしました」と振り返った。

 劇中で宏伸が所属する写真部の部長・三好奈々恵を演じ、7月からTBS系でスタートする日曜劇場「この世界の片隅に」に主演する松本穂香(21)も登壇した。「(登場人物が)みんな個性豊かだった。好きだなぁと思えるセリフもたくさんあった。(演じた)三好は、他の子たちから孤立したところがある。優しく話しかけてくれないパターンもあった」と苦笑交じりで撮影を振り返った。

 高杉は舞台あいさつの最後に「今回の撮影で、自分の本当の高校生活を忘れるくらい楽しんだ。こんなすてきないい環境で演技できて幸せ。思い出がたくさん詰まった作品」と胸に込み上げた、ありったけの作品への思いを吐露した。【村上幸将】