大相撲名古屋場所11日目(18日、愛知県体育館)、幕内栃煌山(31=春日野)が幕内千代大龍(29=九重)を押し出して9勝目。全勝の関脇御嶽海(25=出羽海)を2差で追走し、優勝圏内に踏みとどまった。支度部屋では「体がよく反応してくれた。せっかくこの位置にいるので、緊張感を味わいながら内容を良くしていきたい」と表情を引き締めた。

 もともとは三役常連の実力者で「大関候補」とも言われた。この一年は故障もあり番付を落とす中、同部屋の栃ノ心(30)が1月場所で初優勝し、5月場所後に大関昇進。弟弟子が右ヒザの大ケガを乗り越えて活躍する姿に心を動かされないはずはない。栃煌山は「大関になるのを間近で見て、いい刺激になる。やっぱり腐ってはダメ」と発奮材料にしている。

 その弟弟子は右足親指を負傷して7日目から無念の途中休場。今度は自分が活躍する姿を見せる番だ。今場所と同じ展開から天皇賜杯に肉薄した経験もある。2012年5月場所も11日目を終えた時点でV争いの先頭から2差。優勝決定戦に進出したものの、最後は旭天鵬(現友綱親方)に敗れて涙をのんだ。

「勝っていかないとダメなので、一つひとつ集中していきたい」と静かに6年前の“リベンジ”の機会をうかがっている。全勝の御嶽海にとっても、追走する経験豊富なベテランは不気味な存在となりそうだ。