世界的指揮者の小澤征爾さん(82)が28日、長野県山ノ内町のホール「森の音楽堂」で開かれた「小澤国際室内楽アカデミー」の奥志賀公演に出演し、約9カ月ぶりに指揮を執った。

 昨年10月の水戸市での公演後は体調面の不安から降板が続き、4月には大動脈弁狭窄(きょうさく)症の手術も受けたが、約300人の観客の前で復活をアピールした。

 小澤さんの指揮は事前に公表されておらず、登場の瞬間は観客から驚きの声が上がった。披露したのはベートーベン「弦楽四重奏曲第16番ヘ長調第3楽章」。舞台に用意されたいすに座りながら、ゆったりとした曲調に合わせた大きな動きでアカデミーの生徒ら28人に向かってタクトを振るい、曲の要所では立ち上がって元気な姿を見せた。

 アカデミーは世界に通用する弦楽器奏者の育成を目指し、日本や中国などアジアの若手が奥志賀で合宿しながら世界的な奏者から指導を受けるプロジェクト。2011年から活動している。