三浦春馬:「tourist ツーリスト」アジア3カ国の撮影秘話 「すごくいい環境にいる」現状も語る

動画配信サービス「Paravi(パラビ)」のオリジナルドラマ「tourist ツーリスト」に出演する三浦春馬さん
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動画配信サービス「Paravi(パラビ)」のオリジナルドラマ「tourist ツーリスト」に出演する三浦春馬さん

 俳優の三浦春馬さんが出演する動画配信サービス「Paravi(パラビ)」のオリジナルドラマ「tourist ツーリスト」が28日深夜から放送されている。ドラマは3話構成で、三浦さん扮(ふん)するミステリアスな男・天久真(あめく・まこと)と、悩みを抱えた3人の女性とのアジア各国での出会いを描いており、三浦さんは3話すべてに登場する。各国でのロケのエピソードや役への思い、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍することへの思いなどを三浦さんに聞いた。

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 ◇女性を“挑発”するせりふに苦戦?

 「tourist ツーリスト」は、悩みを抱えた3人の女性が、バンコク、台北、ホーチミンの各旅先で、三浦さん扮(ふん)するミステリアスな男・天久真に出会い、本当の自分を見つけ出す……というストーリー。バンコク編は水川あさみさん、台北編は池田エライザさん、ホーチミン編は尾野真千子さんが出演する。

 3話すべてに出演している三浦さん。アジア各国での撮影について「3カ国をまたいでの撮影という真新しさがありました」と語り、「英語と中国語で話さないといけないシーンも少し盛り込まれていて。僕は英語を使った芝居をしたことがなかったので、新しい挑戦だった。楽しみも相まって、モチベーションが高い状態で現場に入らせていただきました」と撮影前の心境を振り返る。

 三浦さんは、生い立ちや背景が見えない、ミステリアスな男・天久真にどのように挑んだのか。三浦さんは「人って、僕が今こうして話している三浦、友達と話している三浦、マネージャーと話している三浦、それぞれ声のトーンや話すスピードが違ってくるのが当たり前ですよね」と切り出し、「そういうところを、3人の女性とのやりとりの中にもきちんとさせていきたいよね、とプロデューサーと話していました。それが天久真のミステリアスな部分につながれば」とし、「だから一貫性を持たせるというより、あえてバラバラにしています。その国ならではのイベントを素直に体感して、素直な表情を、何にもせき止めず表現する、ということをやってきたつもりです」と語る。

 演じるうえでは苦労もあった。特に難しかったのは、天久がヒロインたちを挑発しながら進むべき先へ導く部分。「彼女たちを怒らせて、(本心を)吐き出させてあげる、という伏線を、天久はどこから張っていて、どこでスイッチを入れてあげているのか……その部分についてのディスカッションは現場で頻繁にしていましたが、でも、自分が実際に常に女性を導いてあげているのかといったら、そんなことは一切しない人間なので(笑い)、そこは難しかったですね」と明かす。

 女性を挑発するせりふについては「『こんなこと、僕、言わないなあ』って。これを言ったら、はたかれるんじゃないかなと(笑い)。難しいなと思いました」と、どこか楽しげに語る三浦さん。「楽しかったです。普通は『私、嫌な女かな?』と聞かれて『うん、嫌な女かも』なんて言えませんから(笑い)。『そんなことないよ、大丈夫』とか言いますもんね」と笑う。

 ◇海外ロケのエピソードは? ホーチミンでバイタクに乗り…

 撮影は、各国で異なる監督の下、行われた。三浦さんは、それが天久というキャラクターを作る上でいい作用を及ぼしたと考えている。「各国で監督が違うので、撮影方法も全部違う。何回もリハーサルする監督もいれば、ドキュメンタリーのように撮影する監督もいる。僕たちの芝居の質も全然違っていると思います。だからこそ、いい作用を及ぼして、天久というキャラクターに一貫性がないところを、魅力的に描けたなと思っています」と手応えを語る。

 それぞれの国での撮影は、共演者にも異なる魅力を与えている、と三浦さん。「その土地土地でまったく違う、ここでしか見られない女優さんたちの表情は、きちんと存在していたと思います」とし、「例えば水川さんとは何回も共演させてもらっていますが、ここでしか見られない水川あさみの表情が絶対あるはずだと現場で思っていて。それがこの『tourist』の強みでもあると感じながら撮影していました」と語る。さらに水川さんについて、「すごく信頼を寄せているので、安心して芝居に入れました。すごくいい人で、面白い人なんですよ。気兼ねなくいろいろ話せる人」と三浦さん。

 池田さんについては「現場がスムーズに進むように人一倍、気遣いをされる女優さん。どこか達観しているなと思いました。不思議な人ですね。嫌味がまったくないし、真面目で、偉ぶるところもまったくない。話していると語彙(ごい)が多くて、面白い子だなと思わせる」と人柄を絶賛し、尾野さんは「いい意味で最後まで翻弄(ほんろう)されていました。『この感覚はなんなんだろう』と。すごく心地いい状態でお芝居させていただきました」と印象を明かす。

 特に気に入ったロケ地を聞くと、「ホーチミンがとても楽しかったですね」と笑顔を浮かべる。「一人で空いた時間に、バイクタクシーのおじさんに声をかけられて。あまり英語が分からない人だったんですが、『あ、これは冒険だ』と思い、うしろに乗ってお寺に連れてってもらいました。コーヒー豆に興味があると言ったら、『いい所を知っている』と連れて行ってもらったり。そこでは『これがジャコウネコのコーヒーだよ』と言われたけど、でも本当にジャコウネコのコーヒーかは分からない(笑い)。パッケージにジャコウネコの写真があるだけですから。でも、まあ買ってみようかと……」と楽しそうに旅の思い出を明かし、「また行きたい国の一つになりました」とほほ笑む。

 ◇俳優をやめたいと思ったことも 今は「すごくいい環境にいる」

 ドラマには人生に迷っている女性が登場するが、三浦さん自身は、同じような境遇に立ったことはあるのか。三浦さんは「もちろんあります」と即答する。「俳優をやめたいなって思ったこともありますし。みんな一度はあると思います」と悩んだ過去を明かし、「若かりしときは、何事も初めてのことだから、『うわ、これ向いてない、合ってない』と思うんだけど、でもなんだかんだで乗り越えてきちゃってるな、ということって、ありますよね」と笑顔を見せる。

 映画にドラマに舞台に……と幅広い活躍が目立つ三浦さん。さまざまな分野で新しい仕事に挑戦することは「楽しい」という。「すごくいい環境にいるな、と思っています。舞台もやるし、ミュージカルもやるし、お芝居もスクリーンでもさせてもらい、テレビドラマもこういうふうに新しいプラットフォームで新しい挑戦をさせてもらっている。今年は新しいことに挑戦させていただいた年だと思っています」と今の置かれた環境を喜んでいる。

 「現場でいい感情に出会って、その感情を邪魔を入れずに表現できたら……ということに、憧れを抱きます」と俳優としての理想を語る三浦さん。今後も自らの可能性を狭めることはせず、舞台などにも積極的に出演していきたいという。「やっぱり、生の舞台、ミュージカルも好きなので。あまりできないような企画にもしっかり触れられるスキルを持った俳優になりたいですね。活躍の場を狭めたりはしない。ドラマも映画も出させてほしいですし、感じることや学べることは、(どこにでも)きっとあると思います」と力強く意気込みを語った。

 ドラマは、「Paravi」が初めて制作した作品。TBSとテレビ東京、WOWOWのテレビ局3社が協力し、1話はTBS、2話はテレビ東京、3話はWOWOWと、史上初となる3局をまたいでの放送となる。1話はTBSで28日深夜0時35分に放送された。2話はテレビ東京で10月1日深夜0時12分(本編は0時20分)、3話はWOWOWで10月7日深夜0時30分に無料放送。

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