6月から消息不明になっていた中国を代表する人気女優ファン・ビンビン(37)が約1億4000万元(約23億円)を脱税したとして、追徴金、滞納金、罰金など計約8億8000万元(約146億円)の支払いを命じられた。国営通信新華社が3日伝えた。ファン・ビンビンは短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」に「自分がしたことを恥じている」と謝罪コメントを発表した。

新華社電によると、税務当局は6月、ファン・ビンビンがブルース・ウィリスと共演した中国映画「大爆撃」で偽の契約書を作成し、出演料を過少申告した疑いがあるとして調査を開始。脱税を確認し、9月30日に追徴金、滞納金、罰金など約8億8000万元の支払いを命じた。

マネジャーは会計帳簿の破棄を指示するなど証拠隠滅を図った疑いで、公安当局の取り調べを受けているという。ファン・ビンビンは「微博」を通じ、「自分がしたことを恥じている。法律を尊重すべきだった。ファンや家族に心からおわびする。これからは法律を守り、良い作品を届けることで信頼を回復したい」と謝罪コメントを発表した。

ファン・ビンビンを巡っては、中国の著名アナウンサー崔永元氏が5月29日、「表と裏の2つの契約書を交わしている」と「微博」に投稿。ファン・ビンビンは6月2日に自身のブログを更新したのを最後に公の場に姿を見せず、消息不明となっていた。

新華社電は、刑事責任について「8億8000万元を期限内に納めれば免れる」としている。中国では女優リウ・シャオチン(62)が02年、1460万元(約2億4000万円)の脱税で422日間、服役している。服役を免れたファン・ビンビンは「幸運だった」との見方が広がっている。興行収入が米国を抜き、世界一となった中国の映画界は脱税など不正行為が横行しているとされ、税務当局は他の俳優に対して、年内に脱税を認めて追加納税すれば、行政処罰や罰金は免除すると“自首”を呼び掛けている。

ファン・ビンビンは、米経済誌フォーブスの「世界で最も稼いだ女優」にアジアからただ1人選出されているトップ女優。同誌は年収3億元(約50億円)と推定している。

◆ファン・ビンビン(范冰冰)1981年9月16日、山東省青島市生まれ。16歳でデビューし、米映画「アイアンマン」(13年)、「X-MEN フューチャー&パスト」(14年)に出演するなど国内外で活躍している。日本でもサントリーのウーロン茶のCMや日中合作映画「墨攻」(07年)などで知られる。10年には東京国際映画祭で最優秀女優賞を受賞。中国人俳優リー・チェンと婚約中。