大相撲九州場所(11日初日、福岡国際センター)を控えた2日、横綱稀勢の里(32)が福岡・大野城市で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加した。前日は疲労のため相撲は取らなかったが、この日は関脇逸ノ城(25=湊)と11番取って9勝2敗と圧倒。先場所を含めて3連敗中の相手だが、同じ一門になったことで巡ってきた稽古の機会を早速生かした格好だ。

 稀勢の里は「一門が一緒になったし(稽古をする)いいチャンス。力を出し切って、お互いにいい稽古になった。今日の内容は非常に良かったし、体のキレも良かった」と納得の様子。秋巡業を皆勤して精力的に体を動かしてきただけに「(状態は)悪くない。気持ち良く稽古ができている」とここまでの調整に手応えを口にした。

 自ら進退をかけて臨んだ秋場所は9場所ぶりに15日間を皆勤して10勝5敗。ひとまず引退危機は回避した。ただ、先場所は長期休場明けで周囲が求めるレベルも高くなかったことは確か。角界内には15日間を全うした上で負け越さなければ良しとするムードさえ漂っていた。しかし、今場所以降は横綱として本来あるべき姿である優勝争いが最低限のノルマとして課せられることになる。

 一門の芝田山親方(56=元横綱大乃国)は「先場所の10番は大きいと思う。前向きにやってもらいたい」。尾車親方(61=元大関琴風)も「先場所は心中は不安だったと思う。(15日間を)取り切れたことは自信につながるのでは」と完全復活に期待したが、果たしてどうなるか。