高倉健さんや北大路欣也さんらオールスターキャストで1977年に公開され、記録的なヒットとなった映画「八甲田山」(森谷司郎監督)の4Kデジタルリマスター版が2日、日本映画+時代劇4Kと日本映画専門チャンネルで初放送される。同作で撮影監督を務めた木村大作さんが41年間、“悲願”としていたリマスターを監修、同日付の毎日新聞朝刊の特集記事で「表情や芝居を浮き出すことができた」と思いを語っている。
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映画は、日露戦争開戦目前の1901年、青森県の八甲田山での陸軍の雪中行軍で約200人が犠牲になった史上最悪の山岳遭難をベースにした新田次郎の小説を、高倉さんや加山雄三さん、三國連太郎さんらオールスターキャストで映画化。興行収入25億円を突破し、当時の日本映画として「日本沈没」の記録を塗り替える大ヒットとなり、北大路さんの「天は我々を見放した」は当時、流行語となった。
今回、12月から4K放送をスタートさせる「日本映画+時代劇4K」の開局を記念し、4K 化された。当時35歳だった木村さんは、森谷監督から撮影監督に抜てきされたが、「DVDやブルーレイディスクが出るたびに、映像の質が気になって仕方なかった」といい、今回の4K化の依頼を受け、半年をかけてフィルムから一コマ一コマ、映像の修復、再構築に取り組んだ。
木村さんは「象徴的だったのは、加山雄三の表情や芝居を浮き出すことができたこと。ライティングで感情を引き出し、ドラマの意味合いが大きく変わった」と語る。さらに「吹雪の質感も、解像度が上がったので、一粒一粒が分かれて見える。フィルムで撮ったものを4K化したのが大きい」と評価している。
3年間かけて、体感温度マイナス35度の雪の八甲田山で行われた撮影について、木村さんは「雪は呼吸する。吹雪でも待っていれば必ずやむ。背景の山々が見えなければいけないシーンは一気に撮影した」と振り返る。「カメラマンや監督としての人生は『八甲田山』がなければあり得なかった」と映画「剱岳 天の記」などを監督した木村さんの“映画人としての原点”だったと振り返る。
特集では、フィルムのチェックから、スキャンしてほこり傷を取り去るレストアなどの4K化の作業も紹介される。映画の放送は午後9時から。同8時からは4K化の作業に密着、関係者のインタビューで4Kの可能性を語るオリジナル番組「フィルム・ミーツ・デジタル」も放送される。
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