大関取りの可能性は…。大相撲初場所13日目(25日、東京・両国国技館)、大関候補の関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が過去3戦全敗の横綱白鵬(33=宮城野)を突き落としで破り、10勝目(3敗)。取組後は「持っている力を出し切ろうと思った。また明日、集中してやりたい」と表情を引き締めた。

 大関昇進の目安は三役(関脇・小結)の地位で「3場所合計33勝以上」。10勝未満の場所があれば、減点材料となる。貴景勝は昨年9月の秋場所は小結で9勝、同11月の九州場所は小結で13勝を挙げて初優勝。今場所の10勝を加えれば通算32勝となり、あと1勝すれば数字上の“ノルマ”はクリアする。

 ただ、日本相撲協会の審判部は現時点で今場所後の大関昇進には慎重な構えだ。2場所前の9勝が大きな足かせになっている。しかも今場所で新関脇となった貴景勝は三役の経験(4場所)も浅い。通算32勝で大関に昇進した稀勢の里(32=現荒磯親方)や豪栄道(32=境川)は三役で十分な実績を積んでいた。栃ノ心(31=春日野)は2場所前が平幕だったが、3場所合計37勝(優勝1回)の圧倒的な成績を残した。マイナス要素を吹き飛ばして大関になるためには、誰もが納得する好成績が必要となる。

 貴景勝が今場所後に大関になるには2連覇、もしくは優勝に準ずる成績(優勝同点=決定戦進出)が条件となりそうだ。いずれにせよ、最近2場所の活躍で上の地位が現実味を帯びてきたことは確か。今回は昇進が見送られたとしても、次の春場所(3月10日初日、大阪府立体育会館)で新たな看板力士が誕生する可能性が高まった。