競泳の日本選手権最終日(8日、東京辰巳国際水泳場)、リオ五輪男子400メートル個人メドレー(4個メ)銅メダリストの瀬戸大也(24=ANA)が同種目を2年ぶりに制し“3冠”で有終の美を飾った。一方で今大会全体では課題も浮き彫りとなり、ゴールデンウイークには代表合宿を行うことが発表された。気になる強化策の狙いは――。

 200メートル個人メドレー、200メートルバタフライに続き、4個メを4分9秒98で優勝した。自己ベスト(4分7秒99)には及ばなかったが、瀬戸は「年末の時期からタイムは少しずつよくなっている。ポジティブにとらえたい」と前を向いた。

 女子4個メでは大橋悠依(23=イトマン東進)が3連覇を達成し、7月の世界選手権(光州)の代表権を獲得。男女の実力者2人は安定した成績を残したが、全体的には派遣標準記録を切れない選手が続出。なんとも寂しい選考会となった。

 日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(55)は「全体的に重苦しい雰囲気を引きずってしまった」と総括。その一因に白血病で闘病中の池江璃花子(18=ルネサンス)の不在を挙げて「池江選手の日本記録から始まったりすると、全体が乗っていくところもあったかもしれない。主力選手の抜けた戦いが苦しかったのは考えられる」と指摘した。

 そんな中で平井氏は今月末から来月上旬にオーストラリアで代表合宿を行うことを発表し「一緒に練習する機会を増やして高い目標を持てるようにしていきたい」と意義を説明した。大会中から「おのおのでバラバラに強化して心細いところがあったのかも」と話していた平井氏が最も重要視するのは対話だという。

「合宿はコミュニケーションを取るため。コーチと選手、選手間もそう。みんなでレストランでざっくばらんに話をしたりトレーニング以外のことも考えていかないといけない」と期間中はトークを弾ませるつもりだ。

 実際、2017年日本選手権の女子100メートル背泳ぎで派遣タイムを1人も切れなかったことから同年11~12月に合宿を開き、昨年の同選手権で好記録が出た“前例”がある。昨年は12月に世界短水路選手権があったため大々的に行うことができなかったが、トーク合戦で底上げとなるか。