日本相撲協会は24日、都内で臨時理事会を開き、横綱白鵬(34=宮城野)が春場所千秋楽(3月24日)の優勝インタビューで三本締めを行った問題について協議。白鵬に対して「けん責」、師匠の宮城野親方(61=元幕内竹葉山)には「報酬減額10%、3か月間」の懲戒処分を下した。一方で、白鵬の行為が問題視される契機となった横綱審議委員会に“重大疑惑”が浮上。角界内に波紋が広がっている。

 この日の臨時理事会には白鵬と宮城野親方が個別に呼び出され、処分内容を直接言い渡された。会場を出る際、白鵬は報道陣の問いかけにも無言を貫いた。

 大相撲の本場所は本来、幕内力士の優勝インタビュー後も表彰式が続き、最後は新弟子による手締めと神送りの儀式をもって終了する。その一連の流れの中で、今回は横綱が勝手に締めてしまったことが問題視された。

 白鵬は2017年九州場所の優勝インタビューで万歳三唱を行い、理事会から厳重注意を受けている。「厳重注意」も「けん責」も、本人の行為を戒めて反省を促す点で意味合いは同じ。ただ、協会の正式な処分として記録が残る点で、今回の「けん責」の方が罪は重い。2年前の“前科”が加味された格好だ。

 師匠の宮城野親方も、弟子が失態を繰り返した監督責任を負うことになった。八角理事長(55=元横綱北勝海)は理事会の席上で白鵬に「横綱だからこそ、大相撲の伝統と秩序、礼節と様式美を率先して守ってほしい」と諭すように話した。その上で「何か言いたいことはありますか」と問いかけると、白鵬は「何もありません」と神妙な顔つきで答えたという。

 一方で、処分に至るまでの経緯の中で、釈然としない部分も残る。今回の一件は、春場所千秋楽の翌日に開かれた横綱審議委員会が白鵬の行為を最初に問題視したことが発端となった。しかし、その後に横審の一部委員が春場所の会場内で白鵬と一緒に三本締めを行っていたとの“疑惑”が浮上。実際の映像で確認してみると、確かに某委員が白鵬の三本締めの音頭に合わせて手を叩いているようにも見える。

 確かに、白鵬の行為は横綱として行き過ぎた行為だったかもしれない。ただ、問題を提起したはずの横審が一部にせよ白鵬に同調していたとなれば、全体の景色も違って見えてくる。「横綱の品格」を厳しくチェックする立場なら、なおさらだ。角界関係者の間からは横審に対して「その場の思いつきで言ってるだけではないのか」と批判めいた声も上がっている。

 相撲協会の芝田山広報部長(56=元横綱大乃国)は「横審からそういう話(白鵬への批判)が出たが、以前に万歳(三唱)をしたことも含めて(協会として)キチッと正さないといけない。第一人者である横綱である以上は、しっかり勉強してもらいたい」と話したが…。いずれにせよ、今回の処分がどこかスッキリしない印象を残したことは確かだ。