劇団新派の水谷八重子(80)が21日、大阪市内で、9月新派公演「黒蜥蜴-緑川夫人編-」「家族はつらいよ」(9月7~16日、大阪松竹座)の取材会に出席した。山田洋次監督が演出、脚本を手掛けた「家族はつらいよ」について「チームワークがよくなければできないお芝居。いい家族になって、お客様にいい家庭の味を持ち帰っていただきたい」とPRした。

「家族-」は同名シリーズ映画の舞台化で、3世代同居家族の笑いあり、涙ありの人情喜劇。結婚45周年を迎える平田周造(田口守)と妻の富子(水谷八重子)。周造に「誕生日にほしいもの」を尋ねられた富子が、離婚届と口にしたことで平田家に大騒動が起きる。

同居する長男の幸之助を演じる喜多村緑郎(50)は昨年、中学校の同窓会に出席したエピソードをもとに「同級生はみんな孝之助と同年代。みんな会社では中間管理職になったり、ちょこちょこ偉くなってきている。でも仕事に疲れちゃって。子どもや両親の介護の話とか、いまの僕らの世代の等身大の役柄です」とオーバーラップさせた。

同級生の愚痴を聞きながら「上からはうるさく言われるし、管理職はたいへんだな。ほんと、社員はつらいよです」と笑わせた。

居酒屋のおかみ役の波乃久里子(73)は「山田先生が書いてくださった『家族はつらいよ』は新派の財産になった」と喜んだ。

第1部「黒蜥蜴-緑川夫人編-」は江戸川乱歩の探偵小説「黒蜥蜴」が原作。女賊・黒蜥蜴を演じる河合雪之丞(48)は「繊細でパワーアップした黒蜥蜴を演じたい」と意気込んだ。