優れたテレビドラマの脚本に贈られる向田邦子賞の贈賞式が28日、東京・帝国ホテルで行われ、「獣になれない私たち」(日本テレビ系)で受賞した野木亜紀子さんを、同ドラマに出演した新垣結衣(30)松田龍平(36)田中圭(34)らが祝福に訪れた。

新垣は「私はいつも野木さんが書く本に、これから生きていく中で、こういう風に物事をとらえたらいいのかな、何にでもなれるんだなあ、と希望をいただいております。これだけさまざまなキャラクターがいる中で、すみずみまで物語の中で愛情を感じます」と祝福。

戦う脚本家と称される野木さんについて、「野木さんはなぜ戦うのかというと、作品に対する愛情が深いからだろうなと思います。出会った時から憧れています」とエールを送った。

松田は「やっているときは正直、獣になりたい、と思ってました」と言うと、野木さんは「どういう意味?」と笑顔でツッコミ。松田は「初めてタイトルを見たときは野獣のことかよ、と思っていたんですけど、野獣じゃないんだな、と。獣イコール衝動といいますか、頭でっかちになって進めない人へのエールのドラマなんだな。僕自身、獣のように生きていきたいと思いますし」と振り返った。

田中は「オリジナル(脚本)が好きですし、見ててもやってても楽しい。参加できたことをあらためてうれしく思う。ゼロから作るって大変ですが、楽しみにしている人がたくさんいますので、たくさん書いてください」と祝福した。

野木さんは通称「けもなれ」と呼ばれる同作について「とても思い出深い、思い入れあるドラマ」と感無量の様子で「ドラマ的に受ける部分をことごとく避けて作った、チャレンジした作品。その作品を評価していただけたということが、心からうれしい」と話した。

選考委員の大石静氏は、今回のノミネート作が「けもなれ」と、武藤将吾氏の「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)の2作の争いであったと明かし、「3年A組もとても挑戦的な作品で、物語の構築力も素晴らしく、勢いもあるものでしたので、選考委員会も時間がかかり、議論が飛び交いました」と説明。「けもなれ」について「ラストのカタルシスの中で結論を出さなければならないという従来のドラマ作りをはるかに飛び越えて独自のまなざしで人間を構築されている。セリフが野木さんらしいオリジナリティーにあふれている」と評価した。

同ドラマは昨年10月期に放送。出演した犬飼貴丈(24)近藤公園(40)一ノ瀬ワタル(33)山内圭哉(47)も出席した。

同賞は向田邦子さんが亡くなった81年の翌年82年からスタートし、今回で第37回。