近年のドラフトで独自路線を貫いてきた西武に今秋ドラフトの目玉、大船渡・佐々木朗希投手(3年)の争奪戦参戦の可能性が高まっている。

 2013年・森友哉(大阪桐蔭)、14年・高橋光成(前橋育英)、15年・多和田真三郎(富士大)、16年・今井達也(作新学院)、18年・松本航(日体大)…。ここ6年のドラフトで5度の1位指名を一本釣りで仕留めてきた西武。根尾(大阪桐蔭=4球団)、小園(報徳学園=4球団)、藤原(大阪桐蔭=3球団)と高校生野手に11球団の1位指名が集中した昨年も、西武だけが例年通りの単独指名で即戦力の大学生投手獲得に成功した。

 そんな我が道を行く西武が、今年は6球団競合の末、交渉権を獲得した10年・大石達也(早大)以来となる「競合覚悟」の佐々木指名に打って出る公算が大きい。エース・菊池の抜けたチームの補強ポイントは向こう数年、投手力の整備と底上げ。特に先発の軸を担える投手の獲得と育成は喫緊の課題となっている。

 もちろん毎年出てくるレベルではなく10年に一人の逸材、佐々木なら西武の嫌う「競合」のリスクを負う価値も十分。球団内でも「(松坂)大輔やダルビッシュを見た感動よりもインパクトは大きい。本物のドラフト1位」と特A評価。チーム防御率リーグワーストという現場の状況で、佐々木を回避する方向性の方が考え難い。

 渡辺久信GM(53)は「映像では見ている。あのくらいのレベルになると、どのチームも評価は変わらない。1回は生で見ておきたいし(7月の)岩手県予選まで行かず、見に行くと思う」と6月中の視察を示唆しながら「評価はトップランク? 多分そうなると思う。あとは(指名に)いくかどうかだけ。可能性は十分あるけど、こればかりは分からない。避けるかもしれないし…」とコメント。独自路線の可能性をにおわせながら、佐々木こそが西武の求める「軸となり得る投手」であることに疑いの余地はない。