美術展ブームともいわれる昨今、永田町の“あるある”を名画のパロディーで描いた本が反響を呼んでいる。社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」のメンバーで、美術芸人としても活躍中の福本ヒデ(47)の「永田町絵画館」(ワニブックス)だ。

 これまでに100点以上、日本の政治家を中心に、名画をモチーフにしたパロディー画を描いてきた福本。昨秋の個展では、何かとお騒がせな安倍昭恵・首相夫人をフェルメール作「牛乳を注ぐ女」に見立てた「火に油を注ぐ女」を発表して話題に。同作などをまとめた書籍が5月末に刊行された。

「この名画で誰かを描きたいという場合と、永田町のゴタゴタに合う絵を探す場合がある。それがハマった時はうれしいですね」(福本)

 出発点は民主党政権末期、ムンクの「叫び」がコントのネタになったこと。同党の「ドン」輿石東氏をモデルにした「文句の叫び」。これを機に美術に目覚め、自ら筆をとった。

 近年は、名画に主婦生活の「あるある」コメントをつけた「#名画で学ぶ主婦業」が出版化もされ、人気を呼んだ。「あれは面白い。主婦が言ってそうなことに加え、本物の絵の解説もちゃんと載せている」。そう受け止める福本は、名画パロディーの先輩格だ。

 本はモデルにした政治家らに贈った。「反応があるといいのですが」と言っていたところ、過去に個展を訪れたこともある石破茂・元自民党幹事長がブログで「近年稀にみる(私見)面白く愉快な作品と思います」と言及。石破氏も同書に多数登場している。