陸上の日本選手権初日(27日、博多の森)、男子100メートル準決勝はサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が10秒05(追い風0・1メートル)で28日の決勝進出を決めた。

 スタートでやや出遅れながらも中盤から後半にかけて一気に加速し、最後は余力を残してのフィニッシュに「中盤からまとめることができたので、その部分に関してはまずまずだったかな」とレースを振り返った。予選でもスタートで出遅れがあり「予選は(セットしてから)ピストルが早すぎて準決勝では音を聞きすぎてしまった」とタイミングがかみ合わなかったことを明かした。

 それでも、準決勝の時点で2002年の朝原宣治、17年に自身がマークした大会記録に並ぶタイムで周囲を圧倒。2年ぶりの同選手権で実力の片鱗を見せつけた“日本最速の男”は「走りの内容も気持ちでも2年前とは違うのかな」と自ら成長を実感している。また、凱旋レースということで多くのファンから注目を集めたことには「日本で陸上競技の人気が上がってきていて、自分としてはうれいしいこと」と笑みを見せた。

 28日の決勝レースで桐生祥秀(23=日本生命)らと世界選手権(9月27日開幕、ドーハ)の切符を懸けた戦いに臨む。国内最速スプリンターは「他の選手が速いことは分かっている。焦らないことが大事」と平常心を保ちつつ「優勝するために集中してやるべきことをやれば、おのずといろんなものが見えてくると思う」と力を込めた。