陸上の日本選手権3日目(29日、博多の森)、男子200メートル予選は日本歴代2位の記録(20秒08)を持つサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が、20秒84(向かい風1・8メートル)で30日の決勝進出を決めた。全米大学選手権よりも体力に余裕を残して日本新記録に挑む。

 予選3組に登場したサニブラウンは序盤から先頭に立つと、そのままスピードを保って周囲との差を広げ、最後は余力を残してフィニッシュ。ほぼイメージ通りのレースプランに「カーブを気持ちよく出て直線は腕をしっかり振って、いい感じでのゴールだった。気持ちよく走れたので今日はよかったのかな」と振り返った。

 小雨が降り続き、決して良好なコンディションではなかった。「走る前にまた(雨が)降ってきたので、他の方々に『すみません』という感じでした」と自称“雨男”は周囲の笑いを誘ったが、特に風の影響は小さくなく「(1・8メートルの)向かい風がキツかった。顔を上げてから『アッ!』と(なった)」。それでも集中力を切らさず、安定した走りを見せた。

 大会新記録となる10秒02で2年ぶりに制した100メートル決勝から一夜が明け「体が結構固まっていた」としながらも、「レースを一本走ったことでちょっとはほぐれたと思う」と再びギアが一段階上がったという。100メートル、200メートル決勝の間隔が短く「ガス欠だった」と話す先日の全米大学選手権と比べれば、今回は初日(27日)の100メートル予選、準決勝以外、一日1レースのため「体力面で少し余裕ができるので、明日に向けて修正してやっていければいい」と前向きに語った。

 決勝では100メートルで対決した桐生祥秀(23=日本生命)、小池祐貴(24=住友電工)と再び激突する。2003年の同選手権で末続慎吾がマークした日本記録(20秒03)を更新するのか。それとも夢の19秒台に突入するのか。20歳のスプリンターは「相手が誰でも自分のレースができれば」と闘志を燃やした。