ヤクルトの球団設立50周年を記念したOB戦「スワローズ ドリームゲーム」が11日、神宮球場で行われた。

 往年の名プレーヤーが集結したなか、最も注目が集まったのが、監督として招かれた野村克也氏(84)だった。もちろんダグアウト裏で出迎えたのは、愛弟子・古田敦也氏(53)だった。対面するなり「監督! みんな待っているんで、ひと言いかがですか!」とスピーチを促せば、試合前には「監督、代打で出てください!」と、まさかの代打要請。久々の師との再会とあって、グイグイくる古田氏に、ノムさんもたじたじの様子だったが、まさかの4回裏、1—6とビハインドの場面で本当にノムさんが打席に立った。

 古田氏、川崎憲次郎氏、真中満氏に支えられながら、つえにしていたバットのヘッドを返しゆっくり構えると、スタンドからは「オーッ!」のどよめき。さらには「ホームラン、ホームラン、ノムラ!」の大合唱だ。初球こそ見逃したが、2球目にゆっくり空振りすると再び大きくどよめいた。

 しかし、さすがに相手投手もビビッたのか、結局「申告敬遠」。見事?に大役を果たしたが、試合はノムさん、古田ヘッドコーチ率いる「ゴールデン90’S」が3—6で敗れた。

 亀のように動かない動物こそ長生きする、という“亀理論”を持論とし、ウオーキングなどのトレーニングには目もくれなかったノムさんも足腰が弱くなってきた。歩行は第三者の肩を借り、腰を支えられながらの状態。車椅子を利用することもある。2010年には乖離性大動脈瘤で入院。その後も健康面が取りざたされることが何度かあっただけに、気になるのは現在の健康状態だが、ノムさんは「全然(大丈夫)だよ。寝ることと食べることしか考えてないわ」とニヤリだ。

 和洋中、都内にある行きつけのレストランを定期的に訪れており、食べる量も監督時代とまったく変わっていないという。中には専用のコースを用意しているレストランもあり、そこでは締めのデザートまでしっかり完食するというから驚きだ。「この前はすしに行ったし…肉といえば○○だな。あそこの肉は最高だよ」とノムさん。大食漢ぶりは相変わらずだ。

 イベント後のセレモニーでマイクを握ったノムさんは「今、最下位…。何やってんだ! 私の残された人生、こんな寂しいことはありません。一日でも早く最下位から脱出して、優勝戦線に加わってください」と一喝しファンを喜ばせると、その後報道陣に対応。久々に着た、背番号73のユニホーム姿について聞かれたものの「ユニホームを着たことよりも、これだけのファンがいることに改めてビックリ。ヤクルトにはファンを大事にして戦ってもらいたい。最下位なんてけしからん! こんだけお客さんが入ってね、監督はじめ現場の人間がどう感じるかですよ。本当にすごい責任感というかね、義務感を感じなきゃおかしいわね」と、久々に公開ボヤキを炸裂させた。

 首位・巨人に15・5ゲームの大差をつけられ前半戦を折り返したヤクルト。後半戦はノムさんのボヤキに応える戦いに期待したいところだ。