ボクシングWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ(12日、エディオンアリーナ大阪)は、王者・拳四朗(27=BMB)が同級1位のジョナサン・タコニン(32=フィリピン)に、4回1分0秒でTKO勝ちし、6度目の防衛に成功した。

 勝負は一瞬だった。試合序盤から効果的にパンチを繰り出していた拳四朗は4回、右ストレートと左アッパーでタコニンを沈めると、レフェリーがストップをかけて王座を守った。地元・関西での凱旋試合で最高の結果となり「すごく大きな歓声で気持ちよかった」と素直に喜んだ。

 3回に偶然のバッティングによりタコニンが右目上をカット。WBC独自のルールで負傷していない拳四朗が1点減点という展開にも動揺は見せなかった。ただ、相手の攻撃については「思ったよりもパンチをもらったので焦りもあった」。

 そんな王者は昨年末のV5戦から約7か月もの間が空いたが、実戦感覚は失っていなかった。この日の試合に向けてサウスポー対策はもちろん、左右の選手と計120ラウンドに及ぶスパーリングで汗を流し「いろいろと考えることができたし、そこで成長もできたと思っている。すごくいい時間だった」と手応えを語っていた。

 また、今回対戦したタコニンとは昨年5月、防衛戦前のフィリピン合宿でスパーリングを行っていた。そこでは序盤から打ち合う展開となったが、パンチ力のある相手に押され気味になったという。それでも距離感を意識して持ち直したことで父の寺地永会長(55)は「これは勝てるなという感じがあった」と当時を振り返る。こうして拳四朗はこの日の試合で予想以上に距離感を縮め“捨て身スタイル”だった相手にも冷静に対応した。

 今後については「もっと強くなりたい。統一戦を含めていろんなベルトを集めたい」ときっぱり。強敵を相手に防衛ロードを突き進む。