新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」は15日、札幌市の北海きたえーるでBブロック公式戦が行われ、IWGP・USヘビー級王者ジョン・モクスリー(33)がジェフ・コブ(37)を下して開幕2連勝を飾った。「ディーン・アンブローズ」のリングネームで世界最大のプロレス団体、米WWEの頂点に立った“狂犬”がなぜG1の舞台を選んだのか。さらに今後の青写真は? 本紙インタビューで胸中を激白した。

 ――開幕2連勝だ

 モクスリー:いいスタートが切れた。それと一人の(新日本プロレス)ファンとして、シリーズを見られることがうれしい。全てをエンジョイしている。

 ――G1参戦の理由は

 モクスリー:金のためでも、他の誰かのためでもなく、自分自身のためだけに挑戦したかった。より成長し強くなるために。鉄は鉄によって磨かれる。新日本は最高の環境だ。WWEは世界最大のブランド。しかしG1というシリーズが最高なものだとこの業界の人間は全員知っている。プロレス界の聖地であり、五輪のようなものなんだ。

 ――WWEとの違いは

 モクスリー:手錠をつけられることなく、自分を操るものは何もない。真の自由という意味ではWWEとは真逆のものだね。コスチュームもショートタイツにした?(アンブローズの)ジーンズは動きにくいし、最悪だった。夏は暑いし。

 ――近年は元WWEスーパースターが新日本に来るケースが増えた

 モクスリー:歴史的に見て日本という国は自分自身を再構築する場と思われている。日本に来て名を上げ、また米国でさらにビッグになりたい部分があったと思う。新日本が最大規模になった今、その傾向は当然だ。

 ――そんな中で目標は

 モクスリー:俺は小さいころから夢見たことを全て達成してきた。お金も名声も手に入れ(WWE)世界王者になった。でもそれだけでは本心から満足できないということを知ったんだ。これからは夢を生きているという実感を得たいんだ。

 ――G1を制すればドームでIWGPに挑戦も

 モクスリー:東京ドームでの試合は自分が死ぬまでにやりたいことの一つ。試合をしたい会場という意味では最後の未達成の会場かもしれない。もちろんIWGPヘビー級王座も大きな目標だ。

 ――米国ではAEWと契約している。日本との両立については

 モクスリー:具体的に決めてないが、日本の活動が楽しいので今は優先したいと考えている。俺が忙しくなっても新日本ファンは、いつどこで俺が登場してもおかしくないと期待してほしい。

 ――中邑真輔(39)がWWEで戦えなかったことを悔しがっていた

 モクスリー:この世界は何があるか分からないからね。お楽しみに…もしかしたらいつか東京ドームで戦うこともあるかもね。でも彼はフロリダで楽しそうにしてるから、こっちに来ることはないのかな、ハハハ。

【VTR】パワーファイターのコブを迎え撃ったモクスリーは、序盤からトペ・コンヒーロを発射。場外花道での首折り弾は相打ちとなるも、持ち前の荒々しいファイトを展開した。リングに戻るとコブのスープレックスに苦しめられたが、エプロンでの攻防で優勢に立つ。最後はリング内からコブの足をセカンドロープに乗せ、変型のデスライダー(ダブルアーム式DDT)を決めて完勝した。