米音楽専門局MTVが主催するビデオ・ミュージック・アワードの特別賞から2009年に急死した米歌手マイケル・ジャクソンさんの名前が削除される可能性が浮上していることが明らかになった。

今年3月にマイケルさんの少年への性的虐待疑惑を取り上げたドキュメンタリー「リービング・ネバーランド」がケーブル局HBOで放送されたことを受けてのもので、MTV内部で名称の変更や賞そのものの廃止案などが協議されているという。

マイケルさんは児童虐待容疑で起訴された裁判では05年に無罪判決を受けているものの、番組では2人の男性が幼少期にマイケルさんから性的虐待を受けたと赤裸々に告白して再び世間の注目を集め、マイケルさんへの批判の声もあることなどから対応を迫られたとみられている。関係者は、「誰がプレゼンテーターを務めるのか、受賞者には誰がふさわしいかなど、考慮すべき点がたくさんある」と明かし、内部は大混乱していると語っている。

「マイケル・ジャクソン・ビデオ・ヴァンガード賞」は、MTVにおける功労賞ともいえる賞で、音楽、ファッション、映画、慈善活動などで多大な貢献をしたアーティストに贈られる特別賞で、1984年の創設当初は「ビデオ・ヴァンガード賞」だったが、マイケルさんをたたえて91年に名前が冠されることになった。過去にはマドンナやビートルズ、ローリング・ストーンズ、ビヨンセらそうそうたる面々が受賞しており、88年にはマイケルさん自身も同賞を手にしている。今年の授賞式は8月26日にニュージャージー州ニューアークで行われる。(ロサンゼルス=千歳香奈子)