演出家宮本亜門氏(61)が、米ブロードウェーで長年活躍した巨匠ハロルド・プリンス氏の訃報を受け、「天国でもすてきな演出、期待しています」と悼んだ。

宮本氏は1日、ツイッターで「私が尊敬する師であり、最も嫉妬した演出家です」とプリンス氏について書き出し、「私がブロードウェイで上演した『太平洋序曲』の演出は『初演のハロルド・プリンス氏とは全く違う演出で創ってみせる!』とライバル心で意気込んで創作しました。他にも『スウィーニー・トッド』『メリリー・ウィ・ロールアロング』『ローマで起こった奇妙な出来事』などは彼への挑戦状のつもりで創作しました。なぜならハロルド・プリンス氏ほど大胆で壮大に実験を重ね、絶賛、酷評を繰り返しながらも、名作を数々生み出してきた演出家は他にいないからです」と、常にプリンス氏を意識してきたこれまでの活動を振り返った。

「身を削ってしか創れない魂の入ったミュージカル・芝居・オペラ・映画が見れて本当に幸せでした」と宮本氏。「天国でもすてきな演出、期待しています」とつづった。

プリンス氏は「ウエスト・サイド物語」「オペラ座の怪人」「キャバレー」「屋根の上のバイオリン弾き」など多くの名作ミュージカルの制作や監督を務め、米演劇界最高の栄誉とされるトニー賞を最多の21回受賞した。7月31日、アイスランドのレイキャビクで死去した。91歳だった。詳しい死因は伝えられていないが、体調を崩していた。