闇営業問題で謹慎していた、吉本興業の11人の芸人の謹慎処分が19日に解けた。当日は2700、くまだまさし(46)、スリムクラブが、翌20日はガリットチュウ福島善成(41)が、東京・新宿のルミネtheよしもとで公演に登場して復帰した。

当初は吉本興業が、復帰公演の取材を許可してくれるか分からなかったので、復帰の4公演のチケットを買った。せっかくなので、復帰芸人以外の芸も堪能して、たっぷりと笑わせてもらった。

19日の3公演は12組ずつの芸人が出演した。復帰の3組以外は全て同じ芸人だったので、11組の芸人のネタを3回ずつ見た。3回ともネタを替える芸人、間の2回目だけ替える芸人、そして3回とも同じネタで押し通す芸人。スタイルやポリシーは違うが、じっくりと見られたおかげで、芸人の実力がよく把握できた。

まず、3公演ともトリを務めた漫才コンビのプラス・マイナス。ラストチャレンジとなった、昨年のM-1グランプリの敗者復活で、知名度のせいでミキに僅差で敗れた実力をしっかりと見せてもらった。

5年ほど前に新宿のゴールデン街で、太った方の岩橋良昌(41)と同席した時に、元プロレスラー小橋建太に会いたいと言われて「M-1の決勝に行ったら、なんとかするよ」と安請け合いしたのだが、今や堂々の売れっ子だ。今までは岩橋のパワフルなしゃべりに注目していたのだが、今回は兼光タカシ(40)の多彩な芸にも圧倒された。

そして、昨年6月にGAG(ジーエージー)少年楽団からGAGに改名したトリオのコント。「席替え部」と「公園」というネタを見たのだが、レベルが高くてビックリした! というのは失礼か。面白さ、テンポと、今年のキングオブコントの本命だ。

ここ数年、M-1グランプリの季節になると注目された天竺鼠。ここ2、3年はなすびのかぶり物でなじみの川原克己(39)をバラエティーなどでピンで見ることが多かったのだが、久しぶりに漫才を堪能した。3回とも同じ「ヒーロー、なすびマン」のネタだったのだが、その度に醸し出す面白さが少しずつ変わって、何回でも“お代わり”できそうな気がした。

そして大阪所属の学天即。M-1が2015年に復活した時から、“関西期待の星”として銀シャリ、スーパーマラドーナ、和牛などとともに注目を集めたが、じっくりと見るのは1年ぶり。今回の出演者の中で一番笑えた。

あとジョイマンも懐かしくて笑えた。

20日の公演ではハイキングウォーキングが笑えた。バラエティーでは鈴木Q太郎のボケだけが目立つことが多いのだが、そこは板の上。イケメンのツッコミ、松田洋昌(42)の多彩なネタに笑わせてもらい、最後はお約束のQ太郎のコーラ一気飲みからのゲップ!で爆笑させてもらった。

最後に登場したのは、極楽とんぼの山本圭壱(51)。品川庄司の庄司智春(43)とペナルティのワッキー(47)を率いてコントを披露。不祥事で10年もお笑いを離れた山本だからこそ知る、舞台に立てる喜び、楽しさを見せてくれた。

不祥事ネタは、もうたくさん。芸人には、心から笑える芸をたくさん見せてほしい。【小谷野俊哉】