歌舞伎俳優中村梅丸(22)が今年11月の歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」で初代中村莟玉(かんぎょく)を名乗ることが決まった。

3年前、若手歌舞伎俳優にインタビューする連載で初めて梅丸を取材した。立役(男性の役)でも女形でも、目を引いていた。

莟玉の発表があった会見でも、3年前の取材でも、歌舞伎の世界に入り役者になれたことは「夢のよう」と話していた。謙虚さはずっと変わらないようだ。

初めて歌舞伎を見たのは2歳。母に連れられ訪れたのは歌舞伎座。当時を振り返り、梅丸は「僕が『あの人は誰?』なんてしゃべるから、劇場の人に大間(ロビー)に出されて、寝っ転がって『嫌だ嫌だ!』と泣いたそうです。とにかく歌舞伎の世界観が好きです。ワンダーランドです」と話していた。

今回の取材で、梅玉の元に来てから15年、歌舞伎以外の道を考えたことはないのか、と聞いてみた。

「どこからお仕事として歌舞伎をとらえていたのか分かりませんが、腹をくくったタイミングがないからこそ、歌舞伎以外の道を考えたことはありません」と断言した。

謙虚で真面目な取り組みは必ず舞台に出ると思う。梅丸あらため莟玉の活躍が楽しみだ。