2006年にマイケル・ジャクソン(享年50)が訪れたことで知られる児童養護施設「星美ホーム」(東京都北区赤羽台)が、築40年を超えて老朽化し取り壊されることになった。敷地内には新しい建物が建てられる。

 13年前の5月28日、マイケルは同施設の中にある多目的ホール「サローネ」を慰問した際、子供たちにオモチャやぬいぐるみをプレゼントした。これがきっかけとなり、サローネは、マイケルファンの“聖地”となった。星美ホームは戦災孤児の養育を目的に創立されたもので、現在は虐待などから逃れた90人余りの子供たちが暮らしている。経営の主体は「社会福祉法人扶助者聖母会」だ。

 取り壊しを危惧しているのが、経済学者で東京大学東洋文化研究所教授で、先の参院選で「れいわ新選組」から立候補(落選)した安冨歩氏(56)だ。著書には「マイケル・ジャクソンの思想」がある。

「星美ホームを全部潰してしまうんですよ。そこに変な住宅地を造って子供たちを収容したら良くなるって言うんですけど、おかしいですよね。すべての思い出をなくしてしまうんですよ。マイケル・ジャクソンだけじゃなくて、プロ野球選手や小錦などいろいろな有名な人たちが慰問に来ているので、せめてサローネだけでも残せば、そうした思い出を展示するだけで、人をひきつける力のある施設になるんです」

 例えば、サローネを「マイケル・ジャクソン記念館」にして入館料を取れば、施設を支えることもできるだろう。

 安冨氏は「潰してしまったら、今まで、慈善活動をやってきた団体の尽力も無駄になってしまう。聖地を破壊することはあまりにも無神経だと思うんです。子供たちの夢も破壊される。参院選が始まる前にも行ったんですけど、壊されることが分かってびっくりしましたね」と話している。