体操五輪個人総合2連覇の内村航平(30=リンガーハット)の母・周子さん(57)が31日、全日本シニア・マスターズ選手権(30日~9月1日)の女子マスターズの部に登場。金メダリストを育てたママとして、いまだ“現役”であることをアピールした。

 内村の父・和久さん(58)が代表を務める「スポーツクラブ内村」(長崎・諫早市)のコーチを務める周子さんは、2015年に初めてマスターズに出場して今年で4回目。この日は「死ぬほど大好き」というモントリオール五輪体操金メダルの“白い妖精”ナディア・コマネチさん(57)からプレゼントされた金のレオタードを身にまとい、前日に息子・航平が復帰戦を行った会場で跳馬、段違い平行棒、平均台、床の4種目を演じ切った。

「体操界のキングの母」とアナウンスで紹介されると会場の視線を独占。床の演技ではラストに「2020東京五輪」の横断幕を持ち出す大胆なパフォーマンスを見せた。この行為が違反となり「減点1・1」を食らったが、持ち前の明るさで会場のテンションを最高潮にした。50代の部では、奇遇にも息子と同じ5位という結果となった。

 試合後、周子さんは東京五輪出場へもがくキングについて「神様が与えてくれた試練。ここで這い上がっていけば、また別の世界が見えてくると思う。乗り越えられない試練はない。這い上がるか、ここでやめるかが勝負」と目に涙をためて語った。

 大会4日前には電話で約10分間、会話したという。「肩どう?」「いいよ」というやりとりの後、試合の話は一切せずに世間話に花を咲かせた。「すごく元気でしたね。試合の話には絶対に触れさせなかった。本人も分かっていたと思う」

 体操人生をかけて最後の勝負に挑むキングへの無言のメッセージ。この日の名演技が何より力になっただろう。