映画化もされた大ヒット児童文学「ハリー・ポッター」シリーズの著者J・K・ローリング(54)が、多発性硬化症(MS)の研究のために1890万ドルを寄付したことが明らかになった。米FOXニュースなどによると、1990年にMSによる合併症で母親を45歳の若さで亡くしているローリングは、地元スコットランドのエディンバラ大学に研究のために2010年に設立されたアン・ローリング・リジェネレイティブ・ニューロロジー・クリニックに寄付することを公式ウエブサイトで発表したという。

MSは脳と体の間で情報を交信する中枢神経に影響を与える病気で、寄付金はMSの研究プロジェクトや新たな施設の建設などに使われるという。同クリニックはMSの治療研究以外にも、パーキンソン病や認知症などの研究にも取り組んでおり、「MSやMS以外の(アルツハイマーやパーキンソン病など)神経変性疾患を患っている人たちにとってより良い研究結果がもたらされていることが分かり、今後の新たな発見と業績を支援できることをうれしく思っています」とローリングはコメントしている。

世界で最も稼ぐ作家として知られるローリングは、「ハリー・ポッター」シリーズで推定9億2000万ドルを稼いでいると言われており、2018年度は推定5400万ドルの収入があったと伝えられている。ローリングは、亡き母の旧姓にちなんで設立した慈善信託を通じてさまざまな慈善団体を支援しており、「ハリー・ポッター」の主人公ハリーがつえに明かりをともす時に唱える呪文「ルーモス」にちなんで名付けた世界中の家庭養護の推進を目的とする慈善団体ルーモス・ファウンデーションなども設立している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)