仏女優カトリーヌ・ドヌーブ(75)ジュリエット・ビノシュ(55)と是枝裕和監督(57)が3日、映画「真実」(11日公開)ジャパンプレミアに出席した。

同作は、ドヌーブ演じるフランス映画界屈指の大女優ファビエンヌが自伝本「真実」を出版することから巻き起こる物語。ビノシュはファビエンヌの娘リュミールを演じる。

是枝監督との撮影を言葉の壁から「最初はもどかしさがあった」というドヌーブだが、「徐々に時間を過ごすにつれて、表情や視線で監督の考えが分かるようになりました」と話した。

ビノシュは是枝監督との映画製作を熱望していた。「『誰も知らない』で是枝監督を知って、子どもたちの無邪気さや人生のディテールが細かく描かれていて感動した」と話した。是枝監督の第一印象は「もの静かだけど、沈黙の中に友情、やさしさ、鋭い観察眼を感じた。映画監督は感受性が必要で、是枝監督はその神髄だと感じた」。

親日家のドヌーブは「日本のものは文化、歴史、料理、アートなど何でも好き。30年以上前から来ているけれど、ほとんどが仕事でとんぼ返りなので、いつか10日くらいのオフを取って散策したい」。ビノシュも「日本文化は洗練されていてデリケート。他者への感謝があるの。野蛮な西洋社会には見受けられないわよね、カトリーヌ」と同意を求めていた。

この日、吹き替え版キャストとしてファビエンヌ役の宮本信子(74)、リュミュール役の宮崎あおい(33)、リュミュールの娘シャルロット役の佐々木みゆ(8)も登壇した。

実写版吹き替え初挑戦の宮本は「声だけを入れるので、だからこそファビエンヌがどういう人物かを理解し、それをどう表現するかを考えて仕事をしました」と話した。

宮崎はフランスの大女優と同じステージに並んだこの日を「恐縮で幸せな1日」とした。同役のオファー以来、時間の許す限りDVDを見ていたという。「ビノシュさんのお顔をずっとずっと見ていたので、昨日初めてお会いしたときには涙が出てきそうになって。棒のように固まり、監督に笑われてしまいました」と感動を語った。