落語家の三遊亭とむ(35)が16日、東京国際フォーラムで「三遊亭とむ 独演会『スーパー落語 ラブファントム2019』」を開いた。

 お笑い芸人の末高斗夢として活動していたとむは2011年8月に三遊亭好楽に入門し、三遊亭こうもりとして活動。14年に二つ目に昇進し、高座名を三遊亭とむに改名した。

 独演会ではなんと、落語界史上初となるワイヤでフライングしながらの“フライング落語”に挑戦した。「誰もやっていないことに挑戦しようと思って『宙乗り(フライング)だ!』と思いました」とその意図を明かした。会場に集まった大入り満員1500人の観客にダイナミックな宙乗りを披露し大成功を収めた。

 落語ブームの中、真打ち昇進を目指すとむは「武道館で真打ち披露興行をするのが夢。その際にもフライング落語をしたい」と意気込んだ。

 ところが、気がはやりすぎて「普通はやっちゃいけないんですが、師匠に『いつ真打ちに昇進できますか』と聞いたんです。そしたら師匠が『落語うんぬんより(落語家として)売れたらな』と言われました。これが一番難しい」とオチを付けた。

 少しでも早く真打ちに昇進するために“封印”しているネタがある。料理用おたまに下駄を手にして「おったまげた~」というダジャレだ。末高斗夢時代の代名詞的ネタだが、落語家になったいま「それは絶対にやらないと決めています。話芸一本で勝負しようと思っています」と断言。「おったまげた~」との決別は、過去の末高斗夢との決別という意味があるのだ。

「妻にも『話芸一本で勝負しようね』と言われてます」。武道館公演実現に向け必死に努力しているようだ。