年内で引退する歌手森昌子(61)が15日、大阪・東大阪市文化創造館で、代表曲のひとつ「越冬つばめ」を作曲した歌手の円広志(66)と“最後の共演”をし、引退へのカウントダウンに「未練はない」と言いきった。

この日は、円が出演するカンテレ「よ~いドン!」(月~金曜午前9時50分=関西ローカル)の歌謡祭イベント。円が、ABCテレビ「探偵!ナイトスクープ」の主題歌「ハートスランプ二人ぼっち」を歌い、歌謡祭は幕を開けた。円からバトンを受け、森が登場。「せんせい」など、往年のヒット曲を熱唱した。

番組ゆかりの松本伊代(54)、地元出身の天童よしみ(65)も出演し、歌い継いだ後にトーク。ステージが明るく転換すると、円が森をまじまじと見つめ「見納めやから、見とこ(う)」。その後、森に引退は「もったいない」「僕なんかにはできない決断」「引退なんかせんで、好きなことして、好きな時に歌ったらええのに」と迫ったが、森は「13歳で芸能界に入ってから、ずっと突っ走ってきて、これからは自分のために生きたい」。引退会見時と同じように説明した。

森は現在、コンサートで各地を回っており、年内引退まで、カウントダウンに入った中でも「やり残したことはないし、未練もないんです」と、すがすがしい表情で話した。

「センチメンタル・ジャーニー」などを歌った松本は「同期の皆とも『おばあちゃんになるまで、歌おうね』って言っています」。会場がある東大阪市の南へ隣接する八尾市が地元の天童は、森とほぼ同じ時期にデビュー。吉田よしみ名義で、アニメ「いなかっぺ大将」の主題歌「大ちゃん数え唄」を歌っていた。ただ、その後はヒット曲に恵まれず、引退危機に追い込まれていた。

「昌子ちゃんが輝いているとき、私は低迷していて、そろそろ辞めようかって時に『道頓堀(とんぼり)人情』をいただいて、その頃、ちょうど昌子ちゃんはご結婚されて…。戻って来られたあたりで、私も『珍島物語』があって…」

天童は感慨深げに振り返り「節目節目に、昌子ちゃんに(自身の)踏ん張りをつけてもらった」と言い、2人は満面笑みで抱擁。天童は前日14日に発表されたNHK紅白唄合戦へ、24回目の出場を決めたばかりで「今年は令和の時代になったので、私も新しい思いで今年を締めくくりたい」と話していた。