【イタリア・トリノ5日(日本時間6日)発】フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルで3年ぶり制覇を狙う羽生結弦(24=ANA)は男子ショートプログラム(SP)で97・43点の2位発進。25歳の誕生日(7日)のフリーで大逆転を狙う。

 SP最終6番目に滑走した羽生。11歳の時、憧れの中で見ていた2006年トリノ五輪のパラベラ競技場の氷上に立った。

 SP曲「秋によせて」が流れると、ピアノの調べに合わせてゆっくりと四肢を動かす。冒頭の4回転サルコーをきれいに着氷すると、続くトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も成功。大幅な加点が付く内容だった。

 しかし、連続ジャンプの4回転トーループの着氷時に体勢を崩し、3回転につなげず単発に。結局、これが響いて自己ベストに遠く及ばない点数となった。

 想定外のアクシデントもあった。コーチのジスラン・ブリアン氏(57)が諸事情で来場できず、キスアンドクライは独りぼっち。プーさんのぬいぐるみを抱えながら一人で得点を待つ珍しい光景となった。

 演技を終えた羽生は「情けないなって思っています。とにかく自分の実力不足」と悔しい表情。ミスが出た4回転トーループについて「悪くはなかったと思うが、力が入り過ぎた」と振り返り「しっかり調整はできていた。本番で(力を)出し切れなかった。フリーをどうこなすか早く考えたい」と巻き返しを誓った。

 一方、GPファイナル2連覇中のネーサン・チェン(20=米国)はすべてジャンプを完璧に降りる出色の演技。羽生が持つSP歴代最高得点に0・15点差に迫る自己ベストの110・38点で堂々の首位発進を決めた。大会前から「ネーサン選手と戦う感じでしか思ってない。勝ちたい」と言っていた羽生。12・95点差を逆転すべく、25歳の誕生日(7日)のフリーに出陣する。