巨人・坂本勇人内野手(30)が6日、都内の球団事務所で契約更改交渉を行い、現状維持の5億円でサインした。昨オフに変則的な5年契約を結んでいたことを明かし、“生涯巨人”も誓った。また、11月下旬に思わぬ形で発覚した主将退任騒動についても言及。“次期主将”を託す最有力候補には小林誠司捕手(30)の名前を挙げたが、実はダークホースとして別の男の名前も浮上している。

 年俸5億円からいくらハネ上がるのか。菅野と並ぶ日本人最高の6億5000万円、はたまたそれを超えるのか…。大注目された結果は、本人の口から語られた真実で意外な決着をみた。

「(年俸は)変わらないです。今年から5年契約の1年目だったので3年間は変わりません。残りの2年間は変動にしてもらっているので、3年間を見て良ければ上げてもらえるし、悪ければ下がるという契約をしています」

 5年契約となれば、メジャー挑戦は年齢的にも難しくなるが、本人は「ジャイアンツで最後までプレーしたいという気持ちを今は持っていますし。メジャーに対しての(憧れ)は持っていますけど、自信もないし、たぶん無理やなと思うので日本で細々と頑張ります」と笑いを誘った。

 その主将を巡っては、とんだ騒動も巻き起こっていた。先月下旬の球団納会で、原監督から坂本勇が球団側に主将退任を申し入れていたことが明かされた。すでに坂本勇は続投を決意しているが、主将を譲るとすれば誰に託すつもりだったのか。会見で口にしたのは小林の名前で「誠司はいろいろ考えながらやっているのを見ていますけど、もっともっと考えてチームのことまで大きく考えてほしい。数字ももっと出さないといけない」と語った。

 坂本勇が後輩たちに求めるのは個々が自立し、チームを引っ張る自覚を持った選手が一人でも多く出てくること。社会人から巨人入りした小林は6年目ながら年齢的には中堅クラスに入る。生え抜きの同学年・菅野はすでに選手会長を務めるなど自立しており、小林にももうひと皮むけてほしいとの思いもある。

 小林については騒動後、本紙にも「誠司とか、あのへんがもっと(頑張ってくれないと)ね」と次期主将の最有力に挙げていたが、実は他にも候補は存在する。

「キャプテンから降りたいというか、最初(に切り出した時)から『OK』になるとは思ってなかったんですよ。(自分の)次にちゃんとできる人が出てこなきゃいけない。僕は別にキャプテンじゃなくてもできますから」と続け「岡本も候補になるのか?」の問いには「うん」と坂本勇本人が認めていた。

 岡本は2年連続で4番に定着して30発超えを果たし、5年目で1億円プレーヤーの仲間入り。実質的には2年目だが、契約更改の席で選手サロンで提供されるメロンの改善を訴えるなど強烈な個性の持ち主でもある。今は自分のことで目一杯かもしれないが、坂本勇が求めるチーム全体を考える力が備われば、巨人史上まれに見る主将が誕生しそうだ。

 会見では、球団側に珍要求を突き付けた岡本について「僕はそんな幼稚なお願いはしないです」と笑い飛ばした背番号6。リーグ連覇、悲願の日本一奪回に燃える坂本勇の脳裏にはしっかりと巨人の近未来図も描かれている。