フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル(イタリア・トリノ)で、昨年覇者の紀平梨花(17=関大KFSC)が「ロシア軍団」の大きな壁に阻まれた。

 SP最下位(6位)から巻き返しを図ったフリー(7日=日本時間8日)では、ついに公式戦初の4回転サルコーを投入。しかし転倒してしまい、トータル216・47点で4位に終った。シニア1年目で初制覇した昨季とは打って変わり、いまや今季デビューの“後輩”の背中を追いかけている。優勝したアリョーナ・コストルナヤ(16)、2位アンナ・シェルバコワ(15)、3位アレクサンドラ・トルソワ(15)の“ロシア三人娘”に表彰台を独占され、予想通り厳しい戦いとなった。

 だが、収穫はある。果敢に挑んだ4回転について、紀平は「時代の流れに沿っていくためにも挑戦して良かった」。シェルバコワ、トルソワは4回転を面白いように跳び、女子フィギュア界の時計の針を慌ただしく進めたが、その潮流にのみ込まれずにあらがったのは今後につながるだろう。その中で紀平と同じく3回転半ジャンプを武器にするコストルナヤが「4回転なし」で優勝したのも希望の光と言える。いずれにせよ、勝負は2022年北京五輪。紀平とロシア勢の戦いはここからが本番だ。