これも“原流”ということか。巨人・原辰徳監督(61)がV旅行でも全権監督ぶりを発揮し選手のモチベーションを上げていた。巨人のハワイV旅行(10~16日)の人選を指揮官自らが行っていたことが判明。リーグ2連覇と日本一奪還を狙う原巨人の2020年シーズンの戦いはすでに始まっている。

 5年ぶりとなるV旅行から帰国した際、指揮官は「選手たちも英気とするでしょう」と満面の笑みを見せていた。参加者の主砲・岡本は「ハワイに行ったのは初めてでしたが、ゴルフを暖かいところでできてすごく楽しかった」とニッコリ。阿部二軍監督も「短い時間でしたが家族と有意義な時間を過ごせました」と帰国後の各イベントで振り返った。

 V旅行では球団が選手、スタッフ、球団職員の家族分も含めた航空運賃、滞在費、食費などを持つ。総勢270人の大所帯でゴルフ、マリンスポーツ、ショッピングとハワイを満喫。今季限りで引退したマシソン、自由契約となったゲレーロも現地に駆け付けた。その一方で今季一軍でプレーし、リーグ優勝に貢献しながら呼ばれなかった選手もいた。

 球団関係者は「優勝旅行のメンバーを選んだのは原監督です。選手のリストを見ながら一人ひとり選んだそうです。一軍出場何試合などの規定はなく、V旅行がその選手にとって来季プラスになるかどうかを重視したようです」と内幕を明かした。

 丸や田口など、個人的な理由で自ら辞退した選手もいるが、腰痛からの復帰を目指し、リハビリに励む吉川尚や日本シリーズでも登板したルーキー右腕・戸郷はメンバーに入らず、V旅行期間もジャイアンツ球場で黙々と汗を流した。その一方で同じリハビリ組でも9月20日に左ヒジの遊離軟骨除去手術を行った左のセットアッパー戸根には声がかかった。

「手術明けでゴルフはプレーできませんでしたがその分、家族サービスをできました。リハビリ中なのに呼んでもらえてうれしかったです。来季、頑張って恩返ししたい」と戸根は指揮官の配慮に感謝した。

 来季「1番・二塁」として期待する吉川尚についても、指揮官は次のV旅行参加をニンジンに奮起を促している。原監督から“指名”のなかったナインの一人は「来年こそはしっかり優勝に貢献してハワイに行きたい」とやる気を見せている。

 シーズン中もアメとムチを使い分け、選手の士気を高めるのが原監督流。この方針はV旅行でも一貫している。選手のモチベーションを上げる人心掌握術でリーグV2、日本一奪還の実現といきたいところだ。