フィギュアスケートの全日本選手権の女子フリーは21日、東京・国立代々木競技場で行われ、ショートプログラム(SP)首位の紀平梨花(17=関大KFSC)が自己ベストの155・22点をマークし、合計229・20点で悲願の初優勝を飾った。圧倒的な強さで「日本一」の称号を手にし、名実ともに日本のエースとして来年3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)に乗り込む。

 最終滑走者として氷上に立った紀平。冒頭は4回転サルコーではなく3回転を選択。続くトリプルアクセルと3回転トーループの連続ジャンプ、単独のトリプルアクセルなど後続のジャンプで次々に着氷し、終わってみれば2位に20点差以上をつける独走Vとなった。

 試合後は「全日本で初めて優勝ができてすごくうれしい」と笑顔で喜びを表現。その上で「4回転なしと直前で決めました」とリスクを避けたことを明かした。演技前の時点で首位との差は133点未満。慎重にまとめれば優勝できるという冷静さが大事なところで出た。実際、ライバルたちは軒並み点数を落とし、優勝ラインは急降下。そんな中でも「気にせずにとにかく集中した」と平常心を貫いた。

 試合前のルーティンでもある睡眠を十分に取ることができず「すごく不安だった」というが、その中で結果を出したことに自信を深めた。

 伊藤みどり、荒川静香、安藤美姫、浅田真央…そうそうたるスケーターが名を連ねる全日本覇者の仲間入りを果たし、いよいよシーズン前から「一番の目標」と位置づけてきた世界選手権に挑む。ライバルは当然、ロシア勢だ。

 今季デビューした脅威の“ロシア3人娘”はグランプリファイナルの表彰台を独占。すでに複数の4回転を跳ぶ“後輩”の背中を追いかける立場だが、今度こそ公式戦初の4回転を降り、真の「紀平時代」を築く。